2-7-13.授業 基礎魔法
鉄球が少しずつ持ち上がるにつれて魔力の制御が難しくなっていき、魔力の膜がうねる度に鉄球がぐらつく。
(魔力の膜を維持しながら、方向性をもたせるのがこんなに難しいんかー。今まで力技で魔法を使ってたって事なんだろうな。)
この授業の大切さを実感しながらも、龍人は鉄球を真上まで持ち上げていく。少しぐらついてはいるが、周りで鉄球に潰されそうになっているクラスメイト達と比べれば、比較的安定していると言えるだろう。
既に10人程度の生徒がゴールへと到着し、次の授業内容へと移っている。
ここで遅れを取るわけにはいかない。この1回で成功させると決心し、龍人は魔力に全神経を集中させながらゆっくりと歩き出した。
そして、何とかゴールまで中ほどの所まで来た所で後ろから声を掛けられた。
「よお龍人~これ難しいよな!これでさ、鉄球を落としたら負けバトルやったら面白そうじゃね?武器は鉄球のみ。みたいな感じでよ!」
声の主は、初日から何故か積極的に絡んでくるバルクである。
「余裕だなぁ。みんな喋る余裕なくて、無言で頑張ってるのに。」
「お前もじゃん!普通に喋ってるじゃん!」
「いや、話しかけられたから、頑張って話してるんだよ!結構きついんだ…って…あっ!」
バルクのせいで集中力が乱された事で、龍人の鉄球はバランスを崩してしまう。