2-7-7.授業
ラルフによる授業が始まった。
「さて魔法学の授業をするんだが、まずは何から話すかな。魔法の歴史も入門としてはいいと思うんだが…正直なぁ、魔法歴を学んだところで何も役に立たないのを考えると、本当に知識を得るだけで時間が無駄になんだよな。よし、魔法歴を学びたい奴は自分で図書館にでも行って本を読んでくれ。」
ここで生徒たちの顔を見回したラルフはニヤリと笑う。
「よし。強くなる事を1番に、必要な事のみ覚えるか。それなら…先ずは魔法の種類だな。魔法の種類は途轍もない数が存在している。まぁ、それも派生系を含めたらの話だがな。例えば、呪文魔法で精霊の力を借りれば精霊呪文魔法。呪文魔法に魔法陣を組み合わせれば呪文魔法陣。といった具合に使用者の応用力で様々な魔法が出来上がるわけだ。それを全部説明してたら俺が飽きちまうから、基本の魔法だけ教えるぞ。その後は自分で想像しろ。」
教卓でいつの間にかに取り出していたコーヒーを啜りながら、ラルフは続ける。
「まずは呪文魔法。魔法を使用する為に呪文を唱える魔法だ。高度な魔法になればなる程、呪文が長くなる傾向が強い。あと、呪文のセリフに決まったものがないんだ。詠唱する呪文の内容によって威力が増減する。詠唱者の語彙力が勝負ってトコだな。」
「続いて精霊魔法。ま、精霊の力を借りて魔法を行使する魔法だな。精霊の力だけを召喚する場合と、精霊そのものを召喚する場合があるな。もちろん後者の方が難しい。精霊魔法は呪文魔法と召喚魔法との境界線が曖昧だ。精霊魔法を純粋に精霊魔法として使うのは極めて難しい。なんせ、本人が精霊になるしかないからな。」
「続いて召喚魔法。契約した精霊、魔獣などを召喚し使役する魔法だ。人間以外を呼び出すものは全て召喚魔法だ。召喚する手段は魔法陣、呪文、魔具が基本になってくるな。大量の魔力を消費するから、むやみやたらに使う人は少ないが、召喚する相手によっては相当強力な戦力になる。ここ1番で使う魔法と思ってもいい。ま、それも普通の魔法使い基準での話になっちまうが。」
やや含みを持たせた説明で召喚魔法を説明し終えると、ラルフは立ち上がった。コーヒーを片手に生徒の間を歩きながら、睡魔に襲われている生徒の襟元に氷を入れていく。
「うわっ!つめてぇ!」
「ひゃん!」
「きゃぁぁ!変態!」
「あん、気持ちいぃ。」
最後の声だけは聞かなかった事にしよう。何処にでも変わった趣向をもった人はいるものだ。
生徒達の目が覚めた所で授業が再開される。