7-2-7.夏合宿2日目
7-2-7.夏合宿2日目
キャサリンの威嚇によって大人しくなっていた筈のラルフだが、再び話し始めた彼は…いつも通りに戻っていた。
「よし!サバイバル障害物レースだが、目標は島の反対側にある洞窟だ。中には、この砂浜への転送魔法陣がある。その魔法陣を使って帰ってくればクリアだ。ルートは自由!条件はさっきも伝えた通り、無詠唱魔法のみ使用可能だぞ。属性魔法を使ったら、そうだな…決めた!キャサリンの雷付帯踵落としだ。パンツは見れるが、次の瞬間意識はぶっ飛ぶだろうな。一瞬の内に天国と地獄を味わいたい奴は、お好きにどうぞ。じゃ、スタートするぞ!」
勝手にルール違反のお仕置き役にされたキャサリンが何か口を挟もうとしたが、ラルフは構わずサバイバル障害物レースのスタートを告げてしまった。思い思い動き出す生徒達。
晴天の空から雷が迸る。そして、異変を感じて生徒達はその場で動きを止めた。
笑みを浮かべるキャサリン。
「あなた達、良く聞きなさい。属性魔法を使ったらこうなるわ。」
キャサリンが脚に雷を纏わせ、踵落としを繰り出す。その先に居るのはラルフだ。
生徒達に背を向けて踵落としを放っている為、スカートの中は見えない。しかし、蹴りの対象であるラルフは生徒達に向かって親指を立てた。…そして、容赦無く踵落としが炸裂した。
ドッガーン
と言わんばかりの轟音と共に砂浜の砂が天高く昇る。
砂煙が晴れると、そこには砂から首だけ出したラルフがいた。
「おーぉお!がっつり受け止めたのに、こんなに埋まっちまったよ。すんげぇ威力だわ。」
「生徒諸君。分かったかしら?」
威嚇する様にキャサリンは眼鏡をクイッと上げると、生徒達を見やる。
生徒全員が無言で頷き、蜘蛛の子を散らす様に走り出した。恐怖故の逃亡。
「あーらーら。みんなお前の事怖がっちまったぞ?」
「…あんたのせいでしょ。」
「ははっ。これでズルする奴は、ほぼいないだろ。」
「ラルフ…あんた狙ったわね?」
「まっ、パンツ見たさが半分だけどな。」
再び落雷が砂浜に直撃する。
街立魔法学院夏合宿
第1演目
サバイバル障害物レース
スタート!




