2-7-5.授業
初対面の女の子をいきなり持ち上げるというセクハラ。流石にやりすぎだと龍人が注意しようとした時だった。レイラを持ち上げていたバルクの姿が一瞬で消える。
そのまま着地したレイラは辺りを見回す。が、バルクを見つける事は出来ない。
「え、消えた…?」
「はいはい!皆席に着けー!これから、ホームルームを始めるから。先ずは出席から取るぞ。」
いつの間にか教員のラルフが教室の黒板の前に立っていた。
「先生!バルクが消えちゃったんですけど」
「ん?君は確か藤崎遼君だったかな?バルクなら、ほら、教室の後ろに出しといたから。」
皆が教室の後ろを見ると、バルクが驚いた表情をして立っていた。
「ま、いきなり女を持ち上げるなんて、デリカシーがないからな。触りたくなる気持ちは分かる!男はそーゆーもんだ。だが、時と場合を考えろな。」
「な、今のは?なんで、、。俺はレイラを持ち上げてたはずなのに。おい!先生!お前何をした?!」
バルクがラルフに喰ってかかる。
「ん?そんなの簡単さ。一言でいってやろう。実力が違いすぎるから分からないのさ。悔しかったら強くなってみろ。な?」
ラルフはカラカラ笑いながら出席簿を広げた。バルクは悔しそうに歯を噛み締めている。
(さっきのは多分…魔法だよな。だけど、いきなり消えるとかヤバすぎるな。魔法が発動する兆候すら分かんなかったし。とんでもない奴が担任になったもんだ。)
龍人はラルフを観察しながら席へと着いた。特に座る場所の指定はされていないので、窓側の1番後ろを選ぶ。龍人にとって端っこの席はは1番気楽な席である。
こうして、街立魔法学院における学生たちの新学期がスタートする。