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Colony  作者: Scherz
第二章 魔法街 闇の鱗片
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7-1-10.夏合宿1日目

 合宿の家作りが始まってから約3時間後、龍人は山の上で島を眺めていた。予想通り、島の地形は前回と大分違うものとなっている。

 まず島の中央に平原。その平原の北と西に山。南には巨大な湖。東には林が広がっている。西の山の外側には、明日の集合地点である砂浜が広がる。

 つまり、龍人が今いる場所は西の山となる。

 他にも山や湖、林の向こう側がどうなっているのかを知りたい所ではあるが、今居る位置から見える範囲で分かるのはこの程度である。


(それにしても、良くこんな島を魔法で作れるよなぁ。やっぱりあの校長の魔法なんかね。信じられない、の一言に尽きるな。)


 龍人の感想は最もである。これだけ巨大な空間に加え、自然を再現する魔法を操るのは…少なくとも龍人の想像できる魔法の範囲を遥かに超えている。もし、この島を作ったのが校長1人に依るものであれば、魔法学院に在籍する学院生全員が束になって掛かっても敵わないのではないか…と思ってしまう。そんな風に龍人が島を眺めながら1人で感心していると、後ろから草を掻き分ける音が聞こえた。

 振り向くと、そこには火乃花が立っていた。何故か髪の毛に葉っぱが付きまくっている。これは突っ込まないわけにはいかないだろう。


「お、火乃花じゃん。なんでそんなに葉っぱ付けてるん?」


 火乃花は手で葉っぱを払いのけながら、ウンザリした口調で話す。


「明日から夏合宿の本番だから、無駄に魔法は使わない様にして来たらこうなったわ。完全に失敗ね。そういうあんたも中々に汚ないわよ?」

「俺も同じ理由で汚くなったんだな。ま、皆似たような事考えるんだね。で、なんでここに?」

「多分、それも龍人君と同じ理由じゃないかしら?この島の地形を把握しにね。」


 クラス分け試験でも同じ動機から岩山の上で出会った2人。今回も似たような事を考えていたようだ。

 2人は少しの間、島の風景を眺めながら無言で過ごす。本日は晴天なり。ゆっくりと傾き始めた陽により、空は虹色に彩られていく。

 龍人は何となしに中央区での出来事を思い出していた。そこで、ふと思いついた事を口にする。


「なぁ火乃花。お前って、夢とかある?」


 火乃花は驚いた表情で龍人を見る。そして、すぐに視線を遠くに移した。

 言いたくないのだろうか?とは思うが、何がなんでも聞きたい訳でもないので、龍人はそれ以降、特に口は開かない。

 少しの沈黙の後、火乃花が口を開いた。

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