7-1-8.夏合宿1日目
場所は変わり、砂浜から歩いてすぐの平地。この場所でレイラ、火乃花、ルーチェが共に家作りに励んでいた。寝床ではなく家作りである。
「私、家で建築学も学んでいましたの。ある程度でしたら、しっかりとした家の設計が出来ますわ。幸い、ここには沢山の木もありますし。女性が外に近い環境で寝るのはよろしくないですし…。一緒に作りませんか?」
という、ルーチェの発案により家作りが始まっのだ。ルーチェが光魔法で木を伐採。火乃花が炎を薄い刃状にし、加工。それらを組み立て、レイラが各重要ポイントに魔法で補強を施していく。
初めての家づくりにしては3人の作業は捗り、およそ3時間程でコテージ風な建物が完成した。
「やれば出来るものね。」
火乃花は額に浮いた汗を拭きながらコテージを眺める。どことなく嬉しそうだ。
「あっという間でしたわね。それでは、私は少しばかしお散歩をしてきますわ。海岸沿いの風が気持ちいいと思いますの。」
「そう。じゃぁ私はこの島の地形でも簡単に把握してくるわね。この合宿で何をするのか全く教えてもらえてないから、ある程度の予備知識は持っていた方がいいと思うし。レイラはどうする?」
「ん~。どうしようかな。疲れちゃったから、コテージの中で休んでてもいい?」
確かに良く見てみると、レイラの顔には疲労が浮かんでいた。
…それもそうか。コテージを建てる際に、ルーチェから様々な種類の補強の方法を指示され、ひたすらに魔法を使い続けていたのだから。細かい魔力の行使はそれだけで精神力を消耗する。
「分かったわ。レイラが1番大変だったもんね。ゆっくり休んでて。」
「そうですわね。レイラさんの魔法が無ければ、ここまでしっかりと家にもならなかったですし。」
「ありがと。じゃぁ、ご飯作りながら帰ってくるの待ってるね。」
レイラはニッコリと微笑むと、火乃花とルーチェを見送った。




