7-1-2.夏合宿1日目
さて、どうやって言い逃れをするか。下手に本当の事を話してしまえば、巻き込んでしまう可能性がある。龍人が頭を悩ませていると、丁度良いタイミングでレイラが会話に入ってきた。
「みんな、おはよう。昨日は楽しかったね!」
いつもより元気な気がするのは気のせいだろうか。これは…上手く誤魔化すチャンス!とばかりに龍人は話を逸らそうとする。
「ね!あの店…MagicShop男女男女は最悪だったけ…」
「よお!みんなおはよう!お、龍人〜お前昨日さ、他の学院の生徒と歩いてなかったか?どうやって知り合ったんだよ?」
話を逸らそうとした龍人の目論見を、空気を読まずに割り込んで来て崩したのは、バルクだ。最悪のタイミング。そして最悪の放り込み。
「へぇ…他の学院の生徒とねぇ?」
火乃花の目線が痛い。レイラも驚いた顔で龍人を見つめている。その視線にすら、ちょっと罪悪感。
「いや、だから喧嘩に巻き込まれて、助けてくれたのがその2人だったんだよ。」
あくまでも平静な態度を装って答えるが、遼が身を乗り出して来た。完全に龍人を怪しいと思っているのだろう。いつも以上に積極的である。
「龍人。何か隠してるよね?全然詳しく話さないしさ。」
4人の視線が龍人に集中する。さぁ、辛い展開になってきた。
さて、何故こうも遼と火乃花が食い下がるのか。それには、龍人が1人で行動をした後の3人の会話が原因だった。
…1日前、龍人と別れた3人の会話はこんな感じだ。
「いきなり魔法陣から出るとか、なんなのよ。もう。」
「まぁ、いつもの事じゃない?」
「龍人君って、いつもそんな感じなの?」
龍人に関する話題に食いついたレイラを珍しく思った火乃花が問いかける。
「あら、レイラって龍人の事気になるの?」
「え…んー、ちょっとだけどね。」
「え!?マジで?マジかー。龍人にねぇ。マジかいな。」
「マジマジうるさいわよ。レイラ、龍人と仲良くなるの手伝ってもいいわよ?」
「えっ!?火乃花ってそーゆーのに協力するタイプなんだね!?」
「んー、お願いしたい気もするけど、何だか悪いなぁ。」
「って、レイラはお願いしたいんだ!?」
「ちょっと遼。あんたいつもに増してウルサイわよ?」
「龍人がいないからムード作りを頑張ってみてるんだ。火乃花が協力するなら、俺も協力しようかな。」
「遼も乗り気だし、頼んじゃいなさいよ。狙い目は明日からの夏合宿ね。」
「2人共…ありがとう。私も頑張るね!」
…こうして、3人の密かな龍人とレイラを仲良くさせよう同盟が組まれたのだった。
そして現在、とりあえず昨日の行動について問いただしまくっているのであった。
 




