7-1-1.夏合宿1日目
翌朝、龍人は教室の前で中に入るのを躊躇っていた。その原因は火乃花…何故か龍人の席に座っているのだ。昨日の事を何が何でも聞き出すつもりなのだろう。可能なら話したくない龍人には、困った状況だ。
もう1度様子見をしようと、ドアの隙間から覗いた瞬間、後頭部の近くからからカチリと音が響く。姿は見えないが、龍人には自分の頭に銃を突きつけているのが誰なのか予想が付いていた。
「…おい、遼。なにやってるの?」
「火乃花に今日の朝、脅されてさ。龍人を捕まえないと燃やすって。」
遼が火乃花側に回っては、逃げ切るのは厳しいものがある。龍人は素直に逃げるのを諦めた。
「分かった分かった。素直に火乃花のトコに行くよ。」
遼に連れられて自身の席の前にいくと、火乃花は腕を組んで待っていた。龍人が前に来ると、無表情で口を開く。
「で、何か言う事は?」
「はい。昨日はすいませんでした。もうしません。はい。」
例の如く火乃花はため息をつく。
「あんたねぇ、私達がどれだけ待ったと思ってるのよ?」
「んー、1時間位?」
そんなに待ってはいないだろうが…あえて、少しトボけた返事をする。
「はぁ…。もういいわ。とにかく!何かあったんでしょ?それ位は私にも分かるわよ?」
(あ、もしかしたらプロメテウスの力かな?傷口が表面だけふさがってるのがばれてるかも。いや、そもそも召喚してないから、ただの勘かも。)
「んー、そうだな。ざっくりいうと、喧嘩に巻き込まれただな!」
「はい、偉そうに言わない。」
何故か後ろの遼からツッコミを入れられる。銃のグリップで殴るもんだから、とても痛い。
「しゃーないだろ!?不可抗力だし。」
「いや、ほとんどの場合龍人が自分から顔を突っ込むパターンだから、それは全然信用出来ない。」
長い付き合いなだけあり、龍人の性格をしっかりと把握している遼であった。
 




