6-3-13.追跡
自己紹介タイムが始まる。まず口を開いたのは黒髪ボブの浅野だ。
「おれは浅野文隆。ダーク魔法学院の1年生だよぉ。」
続いて口を開くのが可愛いゴリラの森。
「僕は森博樹。浅野と同じくダーク魔法学院の1年生だよ。」
ダーク魔法学院…北区にある魔法学院だ。街立魔法学院に比べ、特殊な属性や珍しい属性を持った生徒が多いと聞く。どうりで見た事のない闇属性や、植物を使う訳である。
「本当にありがとな。2人が来てくれなかったら、マジで殺されてたと思うわ。」
「気にしないでいいよぉ。迷ってたら、偶然見掛けただけだしさぁ。」
「そうそう。それにしても、あいつは誰なんだろうね。どうして襲われていたの?」
森…博樹と、浅野…文隆の2人はフードの人物にかなり興味があるようだ。
「んー、助けてもらってなんだけど、危険に巻き込んじまう気がするから、話さない方がいいかと思うんだ。」
博樹がしかめっ面で腕を組む。
「んー…多分だけど、高嶺君を助けに入った段階で、顔も覚えられてると思うんだ。だから、話さなくても僕らが危険な事に変わりは無いと思うよ。」
(確かに…?)
博樹の言う事はごもっともである。しかし助けてもらった上に、更に巻き込む可能性がある事をするのはどうも気が引ける。
そんな龍人の心情を察知したのか、文隆がヘラヘラと笑った。
「あ、そんなに気にしなくていいよぉ?おれ達はそんな簡単にやられたりはしないからさぁ。」
浅野の言葉に、龍人は2人の戦闘を思い出す。植物を操る森。闇を操る浅野。確かに2人共そこら辺の魔法使いよりは確実に実力があると言えるだろう。
(まぁ、話してみるのも…ありかな?)
話す事が正解かは分からないが、ここは2人の行為に甘えて、追跡をしてからの出来事を2人に話す事にした。




