175/994
6-3-9.追跡
…走馬燈。
「こんにちはー!」
元気な声と共にドアがノックされる。龍人は椅子から立ち上がってドアを開けた。そう言えば、今日は一緒に練習をする約束をしていたのだ。
ドアを開けると、横顔は馬っぽく少し面長な狐顔。少し細い目の短髪イケメンが立っていた。…遼だ。
「おし!行くかー!今日は遼に負けないぞ。」
「そんな1週間位で抜かれるわけないじゃん。」
2人はワァワァ騒ぎながら、歩き出す。
…走馬燈。
周囲に爆発音が響く。家が爆発に巻き込まれ、吹き飛ぶ。木の破片が宙に舞い発火する。まるで火の雨が降っているかの光景だ。
隣には遼が倒れていて、既に意識を失っている。
ドガァン!
ドガァン!
爆発は容赦なく続く。龍人は上空に浮かぶ人物を睨みつけた。
…走馬燈。
「ほぅ、お主ら…あれを生き延びたのか。……だ。もし望むなら………ある。どうするかの?」
体が動かない。ゆっくりと、しかし懸命に右手を伸ばす。
右手は掴まれた。




