6-3-2.追跡
6-3-2.追跡
鑑定士を探す為に歩き回って疲れたレイラ、火乃花、遼は街立区への転送魔法陣の近くにあるベンチに座っていた。火乃花の手にはアイス、レイラの手にもアイス、遼の手にもアイスが握られている。
そして、何故か龍人の手には激辛ホットドッグが握られている。甘い物が苦手なので、1人だけ別の店に行って買って来たのだ。
「なぁ、そろそろ帰らない?また今度探しに来ようよ。」
と、提案する龍人。さすがに数時間歩き通しだったので、足が痛い。まるで棒のようだ。
火乃花がアイスをペロッと舐めながら賛成した。
「そうね。これだけ探しても見つからないって事は、ただの噂の可能性もあるわ。もう少しちゃんと調べてから、出直すべきね。」
(まぁ、俺的には出直さなくて良いんだけど…。ん?)
火乃花、レイラ、遼はアイスを食べ終えるとベンチから立ち上がり、体を伸ばす。
「じゃ帰ろっか!…?龍人?おーい龍人〜?」
遼は遠くを見つめて動かない龍人に、少し大きめの声を掛ける。
「ん?あ、わり!疲れてボーッとしてたわ。じゃ、帰ろっか。」
4人は転送魔法陣へ乗る。転送の光が輝き始めた所で、龍人が声を上げた。
「あ!やべ!ホットドッグ買った店で鍵落としたっぽい。先に帰ってていいや!」
そう言い残すと、龍人は転送が始まる直前に魔法陣から飛び出た。
魔法陣の放つ光の向こうで遼が何か言っているが、聞き取る事は出来ず3人は南区へと転送されていった。
「さて、と…。」
龍人はその様子を見届けると、先程見つめていた方向へ走り出した。




