6-1-24.お買い物
遼を官能の世界に引き込んで撃沈させたオカマは、腰を振りながら火乃花とレイラに近寄る。
「ん~、また1人食べちゃったっ。若い男の唇はいいわねぇ。あ~ら、付き添いのお2人さん!待たせちゃってごめんねぇ。何をお探しかしら?」
「は…はは。えっと、クリスタルを探しに…。」
火乃花は、引き笑いをしつつ答える。オカマだからといって女が安全という保証はない。
「あぁん!あなた達も街立魔法学院の生徒なのね!ラルフちゃんにお礼言っといてん。たっぷりいい思いさせて貰ったから。ってねん。」
クルクルと回るオカマ。火乃花は一刻も早くクリスタルを買い、退散するのが良策と判断する。
「ラルフには伝えとくわ。とにかく、クリスタルを4つ売ってもらえるかしら?他に行く店もあるし…」
「やんやん!そんなに急いだらダメよ。人生は大切に生きなきゃね。」
あまりに気持ち悪いセリフが度々吐き出される為、レイラは完全に怯えたようだ。火乃花の服を掴み、後ろにひっついて来る。
(面倒くさい奴と話すのが私の役回りになってないかしら…。)
火乃花は己のやや不運な境遇に嘆く。
「まずわぁん。名前を名乗りなさい!クリスタルは身元不明の人には売れないのよん。」
…そう。クリスタルは1つで魔法使い1人分程度の魔力を蓄積しているアイテムである。その為、悪用をしようと思えば幾らでも使い道があるのだ。それらを防止する為、販売は許可店のみ、購入者を全て記録する。という、制度が設けられている。
意外にも何故か、先に名乗ったのはレイラだった。
「えっと、私はレイラ=クリストファー。街立魔法学院の1年生です。」
名乗ると、すぐに火乃花の後ろに隠れてしまう。火乃花もしょうがなく続く。
「私は霧崎火乃花。同じく街立魔法学院の1年生よ。」
2人は学生証をオカマに提示した。
「うんうん。よろしいわん。あ、あの2人は食べてる時に、勝手に弄って確認したから大丈夫よん。」




