6-1-17.お買い物
ラルフの事を知っている風なお姉さんの反応を見て、レイラが口を開いた。
「もしかしてラルフの事知ってるんですか?」
お姉さんは楽しそうに頷く。
「えぇ。学院の生徒だった頃に、あの人の授業を受けてたわ。セクハラばっかしてて、自由気ままな人だったけど、好きな先生の1人だったかな~。」
「変態教師っぷりは、昔からって事ね。ホント信じらんないわ。」
ボソっと呟く火乃花を見て、お姉さんは何かを悟ったらしい。フフフと笑いながら声を掛ける。
「あなた、ラルフのターゲットにされてるのね。…あら、霧崎火乃花さんね。対人戦の噂は聞いてるわ。フフッ。セクハラしてる相手程、期待してたりもするから、あんまし嫌いにならないであげてね。」
どうやら通行許可証に書いてある火乃花の名前を見て、対人戦で行われたラルフによるセクハラの噂を思い出したのだろう。お姉さんはあくまでも楽しそうにクスクスと笑っている。だが、被害者本人である火乃花は恥ずかしさの余り顔を赤らめた。ここに記す事が出来ないギリギリのレベルで様々な事が行われたのだから当然だろう。しかも、公衆の面前で。
「噂になってるのね…。この話をお父様に知られたら殺される気がするわ…。」
「火乃花の父ちゃんそんなに厳しいの?」
火乃花は龍人を見ると死にたそうなげっそりとした顔をして首を振る。
「いや、忘れて。それより後ろが詰まってるし、そろそろ行かない?」
言われて後ろを見てみれば、確かにイライラしてる人も何名かいるようだ。余計なトラブルは避けるのが1番である。
「あらあら、楽しくなっちゃって仕事するの忘れてたわ。じゃ、あなた達はあそこの魔法陣に進んでね。自動的に転送されるから。はいっ!次の人!どこに向かわれますか?」
お姉さんがテキパキと仕事をこなし始める。
「じゃあ行くか~。」
龍人を先頭に、4人は魔法陣へと足を進めた。
 
 




