6-1-9.お買い物
小1時間程、商品の押し売りトークを繰り広げ…店内で息を切らす2人。
「…シェフズさん。そろそろ諦めてもらえません?もう疲れました!」
「ここまで俺のセールストークに耐えるとは、しゃあない!諦めてやろう。はっはっはっ!お前さん、大したもんだな!」
シェフズは大声で笑うと、龍人の肩をバンバン叩く。かなりの強打に龍人の体が傾ぐが、シェフズはそんな小さな事は気にしない。そして、思い出したとばかりに手をポンと叩いた。
「そうだ。何を買いに来たんだ?」
思わず龍人は叫んでいた。
「あんたが勝手に連れ込んだんだろー!」
「…。おぉ!そうだった!」
何故、こんなにも面倒くさい大人が周りに集まって来るのか。と、嘆く龍人。そろそろ逃げ出したいので、本来の用事を告げる事にした。
「今日はクリスタルを買いに中央区まで行くので、これで失礼しますね!」
「おお、クリスタルか!なんで中央区まで行くんだ?…あ、魔法学院からの補助金か。って事はあの店に行くって訳だな。あの店主には気を付けろよ?喰われるぞ…!」
脅しのようなセリフに龍人はやや警戒する。すると、また思い出したかのようにシェフズが手を叩く。そして少し真面目な顔をした。
「おい。ひとつ聞きたいんだが、前の爆発事件で何か噂を聞いてないか?」
 
 




