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6-1-7.お買い物
龍人の家は、街魔通り周辺にある商店街と、役所が並ぶ北側の地区との間辺りにある。街立魔法学院には学生寮があるのだが、何故か入る気にはなれなかった。
この星の住民として、確定してしまう気がしたからだ。元々…
「よお!ラルフんトコの生徒じゃねぇか!」
大きな声にビックリして立ち止まると、店の中から太ったマッチョな親父が陽気に現れた。シェフズ=ソーサリだ。
いつの間にか魔法の台所の前まで来ていたらしい。
「シェフズさん!あれから店の方はどうですか?」
「おお、順調よ!なんたって俺のファンが学生には多いからな!はっはっ!」
「さ、さすがシェフズさん!男前なだけありますね。」
「おう!今のは冗談だ!つまらんフォローはいらんぞー!よし!こっち来い!」
シェフズはいきなり龍人の頬をつねりながら歩き出した。
「いでっ!チョっほ、どこに連れへ行くんでふか!?」
「久々に店に来たんだ!何か買ってけ買ってけ!」
豪快に笑うシェフズに、龍人はズルズルと引きずられていった。




