5-4-16.対人戦トーナメント決勝
観客席からは疎らな拍手が鳴る。スイは恥かしいポーズで地面に伏せ、ピクピクしている。火乃花は自身のしてしまった行動…禁断の攻撃を繰り出したことを激しく後悔していた。
(反射的にやっちゃったわ…!マズイわね。かなり変なイメージが付いちゃった気が…。)
火乃花の心配は見事に的中していた。主に口を閉ざして見ている人々は、火乃花を恐怖の対象として見ていた。だが、そうでもない人々もいた。
「おぉー!ほーのーかっ!ほーのーかっ!うぉぉおぉぉおー!」
比較的静かな会場の中、大声で歓声を上げ始めた一団がいた。巨乳倶楽部だ。
彼らにとっても、火乃花の行動は決して喜ばしいものではなかったはずだが…この声援が響き渡る事により、観客の考え方も変わってくる。
「まぁ、確かにあんな事、普通はしないよね。ちょっとかっこいいかも。」
「確かに!服が破けても恥ずかしがらないで戦うのとか、かなりかっこよかったなー。」
「相手の弱点はトコトン突くってことじゃない?」
「俺は敵に回したくないぞ。」
「け、蹴られたい!はぁはぁ。」
「実力はピカイチだよなぁ。」
「あーゆー子がデレるとこ見たくない?」
次第に歓声が増え始める。
「なんかみんな盛り上がってない?」
「なんか引いて静かになってるうちら間違ってる気がする…!」
そして、意図せずして歓声は大歓声に変わった。
 
 




