5-4-14.対人戦トーナメント決勝
バルクがルーチェの声に反応してリングを見ると、炎の竜巻はスイが内側から放った波動によって破られようとしていた。
竜巻の中心から発せられた水の波動により炎の勢いが衰え、衝撃波によって押し広げられて竜巻としての密度を失っていき、遂には霧散してしまう。
炎の竜巻の中心に居た火乃花は、真上から波動の衝撃波を受けた事で吹き飛ばされて地面に転がる。ポロリは…なかったはずだ。大分エロい感じに服が裂かれているので、断定は出来ない。
火乃花から少し離れた所、愛刀の日本刀が突き刺さっている位置にスイは静かに降り立った。刀を地面から抜くが、足の力が抜けて膝を付いてしまう。
(魔力を消費しすぎたか。)
スイの視界の隅では火乃花がゆっくりと立ち上がろうとしていた。炎の竜巻で大量の魔力を消費したのか、こちらも肩で息をしているが、膝から力が抜けてしまうスイ程は疲れているように見えない。
炎の竜巻と波動という互いに消費魔力の大きい魔法を使い終わったことで、試合が終わりのような雰囲気が出ているが…未だに試合は続行中だ。火乃花は攻撃を仕掛けるために右手に炎を凝縮して炎剣を創り出す。
(焔剣を出すのは厳しいわね…。)
実のところ、火乃花の魔力は底を尽きかけていた。彼女を支えるのは、不屈の意思。火乃花は負ける訳にはいかなかった。強くなる必要があるのだ。
何故ならば…。
火乃花の頭の中を様々な思いが駆け巡り始める。




