5-4-13.対人戦トーナメント決勝
毎回毎回説明を理解出来ないバルクの反応にルーチェは片手を頬に当てて溜息を吐いてしまう。1度や2度ならまだしも、毎回なのだ。流石に面倒臭いやら呆れてしまうやらの感情が入り混じってくる。
「バルク君は本当にお馬鹿さんなのですわね。つまり、威力の高い属性付き衝撃波ですわ。」
「お馬鹿さん…。」
まるで子供に言うようなそのセリフに、バルクは頭をがっくし下げ大袈裟に落ち込んだ。ルーチェがわざわざ簡潔に波動の説明をしたのは、恐らく聞こえていないだろう。
「なぁ、俺ってそんなに馬鹿か?」
「えぇ。クラスでトップクラスにお馬鹿さんだと思いますわ。その割には実力があるのが凄いですわね。頭が良ければ、もっと強い気がするのですが。」
ルーチェの取り繕わない評価を聞いたバルクは更に落ち込んでしまう。しかし、もっともな意見なので反論する事も出来ない。
(俺は、俺は勉強するぞ!)
心に固く誓うバルク。…しかし、バルクは分かっていなかった。勉強が出来るという事が頭が良い事とイコールではない事を。
小さな決心を固めるバルクの横で試合の様子を眺めていたルーチェが声を上げる。
「あ!炎の竜巻が…。」




