5-4-10.対人戦トーナメント決勝
炎の竜巻の中心に上空から突っ込んだスイ。狙うのは竜巻の中心に立つ火乃花だ。竜巻は外側の部分が激しく荒れ狂っているのに対し、中心は穏やかだった。
スイは火乃花まであと10mの所まで達する。火乃花は竜巻の中心で制御をしている為、竜巻を消さない限り身動きを取る事が出来ない。このまま火乃花を斬り倒せば、スイの勝利である。
しかし…あの火乃花がいくらキレたからといって、竜巻の中心に入り込まれたら負ける魔法を使うのか。その点だけがスイの頭に引っかかる懸念であった。
案の定、それは現実となりスイに襲いかかる。
スイを見上げた火乃花は、追い詰められた表情を一切していなかった。むしろ逆…追い詰めた側の余裕ある笑みを浮かべている。
「甘いわね。飛んで火に入る夏の虫ってとこかな。」
火乃花は右手では竜巻を制御しながら左手をスイに向けて掲げ、筒状になった炎の渦を複数放つ。その数4つ。
1つ目、スイの魔法壁が防ぐ。
2つ目、スイの魔法壁と相殺。
3つ目、刀で強引に散らす。その衝撃の強さに刀は手から離れ、周囲の竜巻に吸い込まれて吹き飛ばされる。
4つ目、スイへ直撃。
こうして力勝負に負けたスイは、竜巻の中心から上空へと押し戻されてしまった。




