5-4-4.対人戦トーナメント決勝
火乃花が両手に灯した炎は、その力を増し焔へと昇華。そして焔は剣の形を成した。
「私は防御よりも攻撃に長けてるの。攻撃は最大の防御、その言葉を実感させてあげるわ。」
正眼の構えで待ち受けるスイへ、火乃花は攻撃を仕掛ける。真正面から突進し、左右の焔剣を並行に、右上から斜め下に斬り下ろす。
スイは刀で受けようとするが、すぐに動きを止めて後方へ退いた。スイの居た空間を焔剣が切り裂き、地面に斬撃が深く刻まれた。それを見たスイは僅かに眼を見開くと小さく呟いた。
「斬撃が6本だと…。」
そう、火乃花が地面に残した斬撃の跡は6つ刻まれていた。1振りで6つの斬撃。これが意味するところはかなり大きい。火乃花はスイを見やり、不敵な笑みを浮かべる。
「まだまだこんなものじゃないわよ。斬撃の距離、数、形の全てが変幻自在だと思って欲しいわね。あなたはどこまで耐えられるかしら?」
そう言うと、火乃花の姿が消える。スイも黙って攻撃を受けるわけにいかない。火乃花が高速で移動したのを察知した瞬間には、スイも地面を力強く蹴って姿が見えなくなった。
2人は高速移動による戦闘を始めたのだ。
会場内には足音だけが響き、程なくしてキィィンという音やガッッという音も混じり始める。剣と刀が交錯する度に、金属の摩擦が生み出す円閃が煌く。
ドガァァァン!
轟音と共にスイの姿がリングの中央に現れた。その身は右肩から地面にめり込んでいる。
「ガハッ…。」
スイは口から一筋の赤を垂らす。




