5-4-3.対人戦トーナメント決勝
火乃花とスイは同時に相手に向かい突進した。火乃花の手には焔剣、スイの手には日本刀が握られている。
リング中央のやや火乃花寄りで2人は衝突した。衝突場所から察するに、スピードは僅かにスイが上か。 2人は何度か剣を打ち合わせると後方へ飛び退く。
スイは着地と同時に低姿勢で火乃花の懐へと潜り込む。後方に飛び退いてから突進の切り替えの早さに、火乃花は僅かにたじろぎ、態勢が崩れてしまう。
勿論その隙を見逃す筈もなく、スイは下から火乃花の中心線をなぞる様に斬り上げた。
火乃花は身を右に捻じり、剣閃を辛うじて躱す。刃先が鼻先を掠め、髪が数本宙に舞っていく。火乃花は右に捻じった体をそのまま回転させてスイへ横切りを放つ。
剣を振り上げた体勢で被撃が確実かと思われたスイは、地面から足を離して地面に倒れこんだ。地面に着くと同時に腕の力で体を回転して回し蹴りを放ちつつ、慣性の力を利用し下からもう一度切り上げる。
回転蹴りを足に喰らった火乃花は右へと倒れ込んでしまう。そこにスイの刃が迫り…首を切断した。
観客席から悲鳴が上がる。だが、宙に飛んだ火乃花の首が地面に落ちると同時に炎へ変わったのを見て、ため息が其処彼処から吐き出された。
斬撃を放ったスイは慌てた様子もなく後ろを振り返った。其処には無傷の火乃花が呆れ顔で立っていた。
「ホント危ないわね。私じゃなかったら本当に死んでるわよ。」
「ふん。余裕で避けておいて良く言う。」
僅か数秒の攻防に観客席が湧く。
歓声が上がる中、やる気の炎が目の奥に灯った火乃花がスイに向けて言葉を放つ。
「今度は私が押し切るわよ。」
火乃花の両手に炎が精製される。




