5-4-1.対人戦トーナメント決勝
火乃花は胸を張り、悠然とした態度でリング中央へ進む。
(皆から見られてるから、それなりにしっかりとした感じにしないとね。)
小さな見栄を張った火乃花の思惑はすぐに崩れ去ってしまう…ラルフによって。
「さて!みんな。一応だから決勝に進んだ霧崎火乃花の紹介をするぞ!なんと言っても、目立つのが巨乳だな。よっ!グラマラス火乃花!そんで、ファンの心を掴んで放さないポイントが赤髪ロングだろ。結んだりせずに下ろしてるのがいいよな。サラサラだし。パッチリした二重瞼もいいだろ?鼻立ちもしっかりしてるしな。巨乳倶楽部にファン多数って噂だ。健全なファンも、不健全なファンもだけどなー。そんな皆のグラマラスアイドルが火乃花の正体だ!」
観客席から視線が集中する。火乃花の胸にほとんどの視線が集中しているのは…気のせいでは無いだろう。
公衆による視姦プレイに、火乃花は思わず腕で胸を隠す。
(なによ。この視姦プレイな気分は!?)
ふと、背後から殺気を感じる。反射的に後ろを見るが誰もいない。…いや、スイがゆっくりと歩いて来ていた。
その眼は怒りに満ちていた。何が彼をそこまで怒らせたのか。特に思い当たる節がない火乃花は警戒する。
そんな2人の様子を知ってか知らずしてか、テンションが上がってきたラルフがスイの紹介を始めた。




