5-3-16.対人戦トーナメント準決勝
「スイって無口で無愛想だけどさ、実はいい奴だったりしてな。」
だが、その言葉に頷く…頷ける者は居なかった。まぁ、本人の態度があぁなのでしょうがないだろう。
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所は変わり選手控室。正確に表現してみるなら決勝戦控室。
火乃花はとても居心地の悪い思いをしていた。その原因はスイだ。先程から、チラッと火乃花を見ては視線を逸らし、チラリと見ては視線を逸らし…を繰り返しているのだ。何が1番居心地が悪いのかというと、絶対に目を合わせてこないのだ。。
(私の何がそんなに気に入らないのかしら。)
最初は気づかないフリをしていたが、そろそろ我慢の限界である。スイはまた視線を火乃花に向けてきた。ムカついた火乃花がスイを見ていた事もあり、2人の視線が必然的に交錯する。スイは少し目を見開くと、動きを止めた。
「………。」
「………。」
無言の後、スイはゆっくりと視線を逸らすと、顔を地面に向ける。火乃花のイライラは噴火1歩手前まで煮え繰り返ってくる。
そもそも、なんでチラチラ見られなければならないのか?そして、目があっても何も話さない。人を馬鹿にするのも程がある。
そして再びの…
チラッ
火乃花の我慢は限界に達した。
「ちょっとあんた!なんかあるなら言いなさいよ!馬鹿にしてるの!?」
怒声がスイを直撃する。




