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5-3-14.対人戦トーナメント準決勝
連鎖して起きる爆発はリング上を呑み込んでいく。確実に倒したのでは…と思える程の威力が出ているが、遼は更に駄目押しの一撃を放つ。
「最後にこれで!」
手元に残しておいた重力弾をスイの居るであろう場所に飛ばし、解放。すると、大量の冷気が放出された。これはスイの攻撃を吸い込んだ重力弾…つまり、スイが放った冷気を溜めておいて、この場面で攻撃に利用したのだ。冷気は辺りにあるものを手当り次第に凍らせていく。
爆発の余韻と、冷気が晴れるとそこにはスイの形をした氷像が立っていた。
(うん。やっぱし、吸い込んでからの解放は難しいなー。加減が全然出来ないね。)
スイが行動不能に陥り、遼の勝利が確定した。…と、思ったのが遼の間違いであった。突如、背中にするどい痛みが走る。
「がっ…!どうして…。」
遼の後ろにはスイが立っていた。まるで先程の爆発など無かったかのように平然とした顔で。
「油断をしたお前が悪い。」
背中の切り口から、氷が広がっていく。
「まじか。俺のま…け……。」
リング上に2つ目の氷像が完成した。




