5-3-12.対人戦トーナメント準決勝
スイは何度も遼へ斬りかかり、遼もひたすらに避けて魔弾を撃ち込んでいく。だが、その魔弾の軌道を読みきったスイは難なく避けて次の攻撃を繰り出していく。遠距離専門と近距離専門の攻防は、如何に得意な間合いに持ち込むかの駆け引きが絶えず行われていた。
この攻防を何度か繰り返した後、2人は同じタイミングで足を止める。
(スイ…やるなぁ。攻撃の動きが攻撃だけで完結しないで回避にも繋がってるから、全然魔弾があたんないや。)
このままでは体力勝負になってしまうと判断した遼は、違う種類の攻撃を仕掛けていく為に、銃へ重力の魔力を込め始めた。
すると、遼の双銃に魔力が集中し始めたのを察知したスイが斬りかかってくる。遼は避けながら、双銃へ魔力を蓄積し続けていく。
だが…遼は攻撃を避けたところで違和感を感じた。
スイの動きが先程と違うのだ。全ての攻撃が急所を狙った一撃必殺だったのに対し、今は流れる様に斬りかかってくる。まるで演舞でも踊っているかの様に。そして遼は気づいてしまう…スイの動きが変わった意味に。
「まずい…!」
スイの周りに冷気の渦が現れる。刀の動きに合わせ、うねりながら刀へ纏わり付いていく。
危険を感じた遼は後方へと大きく飛び退いたが、そこに冷気の渦が伸び遼の足を捉えた。
キィィィン!
足が凍りつき、遼はバランスを崩してその場に跪いてしまう。
「ふん。勝負あったな。」
冷たい目線で遼を睨みつけたスイは、刀を振り下ろし冷気を遼へと飛ばした。




