5-3-8.対人戦トーナメント準決勝
「簡単に言いますと…プロメテウスの名前は、pro(先に、前に)+metheus(考える者)で、「先見の明を持つ者」「熟慮する者」の意味になるのですわ。どんな神様かと言いますと…ゼウスという、ギリシア神話の神々の王様がおりますの。そのゼウスが人類から火を取り上げましたの。けれど、プロメテウスはこっそりと、人類に「火」を渡したのですわ。火を使えるようになった人類は、そこから生まれる文明をも手に入れることになりましたの。これが、プロメテウスが火の神に分類される所以ですわね。この行いに怒ったゼウスは、プロメテウスをカウカーソス山の山頂に張り付けにさせまして、生きながらにして毎日肝臓をハゲタカについばまれる責め苦を強いましたの。プロメテウスは不死なので、肝臓は夜中に再生するのですわ。この拷問は、後にヘラクレスに解放されるまで、半永久的に行われたとされていますわ。」
バルクは頭から煙を出しながら、疲れた様な顔でルーチェの話を聞いていた。知りたい以上の情報にバルクの脳が悲鳴を上げる。というか、こんなに詳しく知っているルーチェは何者だ?と思ってしまう。
「む、難しい話はパスだ!簡単に教えてくれ…。」
「そうですわね…。神々の王様に逆らって、人類に火を渡し、その罪で内臓をツンツンされた神様ですわ。」
「なるほど!つまり、イイ神様って事だな!」
「そうですわ。あんな可愛いんですもの、イイ神様に決まってますわ。」
ルーチェの話を聞いていた周りの観客が
(それは違う!)
と、心の中で突っ込むが、誰も口には出さなかった。突っ込みを入れる前に戦局に大きな動きがあったのだ。
プロメテウスを召喚した火乃花が、大量の火球を周りに召喚したのだ。
 




