5-3-7.対人戦トーナメント準決勝
火乃花が喚び出したプロメテウスは少年の姿をしていた。白い肌に赤髪、赤目、そして額にはちょこんと赤い角が生えている。
プロメテウスは地面に降りると火乃花の方を向き、龍人の方を向き、火乃花を再び見る。
「おい、火乃花。おいらを呼び出した相手はあいつか?中々に若い奴相手に手こずってるねぇ!」
小さい割には話し方が大分歳がいっているというか…なんともギャップが凄い。そして、火乃花はプロメテウスの性格を忘れていた。とばかりにコメカミを押さえる。
「もう、騒がしいのが増えちゃったわね。えぇそうよ。中々にやるのよ彼。力を貸してもらうわ。」
「もちろん!火乃花はおいらの召喚主だからな!じゃあ、いくぞ!」
プロメテウスは姿を炎へと変えると、火乃花の右腕と左腕の腕輪に纏わりついた。
「はぁー。凄いな。俺あんま召喚獣見た事無いから、感激だわ。」
「一応言っておくけど、プロメテウスは獣じゃなくて、神だから召喚神よ。そこの表現は正しくしないと失礼よ。」
そうだ。と、言わんばかりに腕の炎が踊る。その動きは可愛らしいと表現するのが妥当で、まだ召喚神の恐ろしさ…は実感する事が出来ない。
観客席で観戦していたバルクは、隣に座るルーチェに質問をする。
「なぁ、プロメテウスってどんな神様なんだ?」
「んーとですね…」
ルーチェは、人差し指を下唇に当てながら前に読んでいた文献の内容を思い出す。そして、授業の様な話が始まった。




