5-3-5.対人戦トーナメント準決勝
待てと言われた火乃花は怪訝な顔をする。
「何よ?何か言いたい事があるのかしら?」
「そりゃあるさ!真面目に戦えって言うけど、俺は真面目だぞ?さっきも、本気で光球をぶつけるつもりだったし。ま、失敗したけどね。自爆もしたくてしたんじゃない。さっきも言った通り、暴発ですから!」
「龍人君…暴発って自信満々にいうことじゃないでしょ。」
火乃花は腕を組んだまま、頭をがっくし下げる。魔法の失敗を堂々と言う龍人は、火乃花からしたら少しだけ眩しかったりもするのだが…。取り敢えず、気を取り直して龍人の顔を真っ直ぐ見る。赤い瞳には再び戦意の炎が燃え上がり始めていた。
「ま、ふざけてたんじゃないならいいわ。続き行くわよ。」
「なんかなぁ。俺ってそんなに信用ないんかね。」
頭を横に振りながら軽く溜め息を付くと、龍人は火乃花に向かって構えを取った。
「まーいーや。試合の続きやりますか。」
龍人の腕に幾つかの魔法陣が展開され、火乃花も焔鞭を創り出して握り締めた。
試合の再開は何の合図もなく、突然始まる。龍人が水矢を飛ばし、火乃花が焔鞭で弾き落とす。鞭は蛇の様にしなり、龍人に襲いかかる。龍人はポイントで魔法壁を展開。的確に焔鞭を防いでいく。
火乃花は弾かれた焔鞭を手放すと、焔剣を創り出し、龍人へと斬りかかる。
「ぬぇい!」
龍人は変な声を上げながら斬撃を避け、火乃花から距離を取る。龍人が武器を使って応戦してこないのを不思議に思った火乃花は、龍人に向かって剣を構えながら口を開いた。
「龍人君って…武器使わないの?教室で1回だけ剣を使うの見たことあるけど。その後は魔法しか使ってないわよね。」
実は龍人の武器については、火乃花が以前から疑問に思っていた事でもある。今が良い機会だと思って聞いて聞いてみたのだ。
 




