5-3-3.対人戦トーナメント準決勝
火乃花の真上に浮く龍人は、自身の周りに浮いている光球を前方に集める。光球に右手を翳し左手で右手首を掴む。すると、集まった光球は形を歪め、融合し、1つの巨大な光球になり、眩いばかりの光を放つ。
その光の強さに思わず手を翳しながら、火乃花は思案する。
(かなり強力な攻撃が来るはず。今から魔力を溜めるのは間に合わないわ。となると、上手く避けるか、防ぎ切るしかないわね。)
額を汗が伝う。防ぐとはいっても一方向特化型の防御壁か、全方位型の防御壁か。この選択肢を間違うだけで、負ける可能性がある。それだけの威力を秘めた攻撃と予想するべきである。どの様な攻撃を撃ってくるのか…それを想像するのはほぼ不可能と言えた。
ここで、一か八かの賭けに出るのは、運任せであり得策とは言えない。ならば、自身の持てる力を全て使い、避けるしかない。
火乃花は全身に身体能力強化を施し、少しでも早く攻撃に対する対応が出来るように、龍人に向けて魔力探知結界を広げる。火乃花は待つ。攻撃が放たれる瞬間を。
一方、龍人は光球の制御に苦しんでいた。複数の光球を融合させた結果、予想以上のパワーになってしまったのだ。
(このまま放つと、暴発しそうだな。少しずつ打ちまくる方がいいかな。一気にやると、制御でかなりの魔力を取られそうだし。マシンガンを撃つイメージでいこう。)
龍人は魔力の威力で吹き飛ばされないように、自身の周りに結界を張る。守る為ではなく、体を固定する為だ。
龍人、火乃花の準備は、ほぼ同じタイミングで整った。
そして…龍人による攻撃が放たれた。




