2-6-2.クラス発表
グラウンドに現れた校長は、相変わらず熊人形の姿をしていた。もちろん、股の裂け目も健在だ。その裂け目から覗く可愛らしいイチゴパンツも。
だが、校長は自分のパンツが見えている事に気付いていないのか、隠す様子を見せないどころか…仁王立ちをしていた。
確かに威厳というか威圧感の出る立ち方ではあるが、その全てをいちごパンツが台無しにしている事など…想像だにしていないのだろう。
「さて、新入生の諸君。いい戦いを見せてもらったのである。クラスの発表は明日行うのである。楽しみにの。一応、誤解が無いように言っておくんじゃが、クラス分けの基準はポイントじゃ。じゃが、試験中の行動を吟味してポイントが低い者が高い者よりも上のクラスに行く事もある。これは皆の本質を知りたかったから、試験前には敢えて伝えていないのである。なので、文句は一切お断りなのである。じゃ、お疲れ様なのである。」
校長はそう言い残すと手を降って姿を消し…。
「のうぉぅ!」
こけた。何故こけたのか。それは分からないが、1つだけ確かな事がある。イチゴパンツが新入生全員の記憶に残った事。
こうして、クラス分け試験はなんとも締まらない終わりを迎えたのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
翌日の昼。
龍人と遼は学食に来ていた。街立魔法学院の学食はとても広い。勿論、只広いだけではなく学食としての機能も充実している。提供される料理は和洋中とほぼ何でも揃っており、その膨大な量のメニューを見た龍人と遼が目を輝かせたのは言うまでもない。
「今回の試験ほんとキツかったな。もー、あの爆弾野郎がさ…。」
カツ丼を食べながら遼がグチる。話を聞く龍人は、遼から試験が終わってから爆弾男に対する愚痴を聞かされ続けているので、話に対してなんとなく相づちを打つだけだ。
そんな2人の所に…
「ご一緒していいかしら?」
そう言って声を掛けてきたのは、クラス分け試験で龍人が岩山の上で会い、クラウンに負けそうになった遼を吹き飛ばして助けた?霧崎火乃花だ。赤いロングヘアがきめ細やかに揺れ、綺麗な二重の奥には赤い瞳が佇んでいる。一目で分かる美人さんである。
「ん?あー。いーよ。えっと、火乃花さんだっけ。クラス分け試験どうだった?」
「ありがと。ここ座るわね。試験は…そうね、ポイントだけを言ったら1番上のクラスにいけるとは思うんだけどね。……それにしても龍人君、ご飯めちゃくちゃ過ぎない?」
「そお?バイキングなんだからこんなもんじゃない?」
龍人が学食で選んだメニューは、バイキングである。理由はたくさん食べたかったから。
和洋中なんでも揃うメニューから好きなものを取りまくった結果、もはやジャンルも分からない程に多種多様なジャンルの料理が皿の上に乗っていた。
皿の上の異文化交流とでも表現しよう。
「ま、好きなのを食べればいいんだから文句を言うつもりはないけどね。盛り付けが残念かな。」
「うへっ。地味にショック」
言葉通り地味に落ち込む龍人を尻目に、火乃花は秋刀魚の塩焼き、豆腐とワカメの味噌汁、玄米を綺麗な箸使いで食べていく。和食で統一された綺麗な献立である。
おかずを摘みながら火乃花は思い出したかのように話し出した。
「そう言えば、さっき外の掲示板にクラス発表の時間が張り出されてたわよ。15時に校門入って直ぐの広場だって。」
「あ、ホント?楽しみだなー。三人とも同じクラスになれたら楽しそうだね。」
「え、また遼と一緒かよー。たまには別々に日常生活送ってみたい!」
「え、それちょっと酷くない?」
「悪い悪い。冗談だって。今まで一緒だったんだし、それを苦痛に思ったことなんかないよ。」
「えーほんとかな?」
「いや!そこは信じろし!」
火乃花が居るのをやや忘れて、くだらない言い合いをする龍人と遼なのであった。