第29話 Our story -April-
エドワード様と想いが通じ合って早数か月。
来年の春に執り行われる結婚式の準備に大忙しの毎日ですが、実は、嬉しいことがもう一つ起こったのです。
わたくしの書いた『サラと伯爵』が、なんと本として出版されることになったのです!
その知らせを聞いたときは、もう感激の涙が止まらず周囲は大爆笑でした。
小説を読んだエドワード様のお兄様が出版社へ売り込んでくださり、わたくしの電撃小説家デビューへと至ったのです。
でもなぜお兄様なのかしらと問うわたくしに、「そのうち分かるよ」と片目をつぶってみせたエドワード様。お兄様は何か秘密を隠していらっしゃるようです。
出版に向けて、『サラと伯爵』の原稿を手直ししながら、わたくしはいつも思うのです。やっぱり運命はやって来たと。
初めてエドワード様と出会った日に見えた、赤い糸。あれはやっぱり見間違いではなかったのですね。
小説のような恋が、誰の元にも降ってくるかもしれない。そう夢見ても、良いでしょう?
「疲れてない?」
「いえ、平気ですわ」
わたくしを気遣ってくれるエドワード様が肩にストールを掛けてくださいました。そして頬には、とびきり甘い口づけを。
わたくしとエドワード様の物語も、まだ始まったばかりです。
これからどんな物語を築いていこうかしら―――。
これにてエイプリル編、完結です。
意外と長かった……
次回からは末っ子フランシス編スタートです!




