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神田直樹、出ます  〜その票ください〜  作者: 双鶴


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3/10

候補者、三つ巴

神田が「出ます」と言った翌日、町の空気は妙にざわついていた。

スーパーのレジ横には「神田さん、町長になるってよ」と書かれた手書きのメモ。

保育園の送迎口では「神田さんって、誰?」という会話が飛び交い、コンビニでは——


「俺も出るわ」

田所誠司、コンビニ店主。自称“町のライフライン”。

「選挙カー? うちの軽バンで24時間回せるし。ポスター? レジ横に貼るし。演説? レジ前でやるし」

「町を眠らせない男」として、立候補を宣言。


その翌日——

「私も出ます」

三輪律子、元教師。教育改革を掲げ、「朝のラジオ体操義務化」「町内読書週間」「公園でのスマホ禁止」を提案。

「町を正しく導く女」として、立候補を宣言。


こうして、桜ヶ丘ニュータウンは、喫茶店店主・コンビニ店主・元教師による三つ巴の町長選へ突入した。


トリビア①:「町長選は、政党の推薦がなくても出られる。無所属候補が多いのも特徴」

トリビア②:「選挙カーは“自家用車でもOK”。ただし、助手席に乗れるのは候補者本人だけ」

トリビア③:「選挙ポスターは“掲示板に貼るだけ”。町内の電柱や壁には貼れない」


神田は、喫茶店のカウンターで静かに言った。

「……じゃあ、俺はネットでいくか」


その言葉に、町内会副会長が目を輝かせた。

「ネット選挙、いけるぞ。SNS、ブログ、動画、全部使える。2013年から解禁されてる」


神田は、元編集者としての血が騒いだ。

「じゃあ、“町長選トリビア”シリーズ、始めようか」


こうして、神田の選挙戦は、ネルドリップとネットとトリビアで幕を開けた。


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