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リミット  作者: 過酸化水素水
6章 X
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(6)

 

   9


 修司は昨夜の琢真の話で、どうしても気になった部分があった。

 尾登の告白の事ではない。

 植木鉢が落ちてきたという部分だ。

 なので修司は、その植木鉢が落ちた場所、植木鉢が置かれていた場所を、午前中の休み時間を利用して調べていた。

 ただ植木鉢がベランダ置かれていた教室……美術室は鍵が掛けられており、美術の教師が中にいるか、用事がある時以外は開ける事はできないそうだった。修司は選択授業は美術ではなかったので、その事を知らなかった。

 その為、先程の休み時間では目的を果たすことが出来ず、次の休み時間に入ると同時に鍵を教師に借りに行った。日頃教師達の信頼を受けるように行動している為、特に大した理由を言わずとも頼んだ教師は鍵を貸してくれるよう美術の教師に取り計らってくれた。

 美術の教師は二つ返事で鍵を貸してくれたが、鍵を貸している人の名前を書いているノートに自分のクラスと名前を書くことを要求してきた。そうしないと誰に貸したか忘れる為だそうだ。特に拒否する理由もないので、修司はそれらを記入して鍵を借りた。

 そうして、常日頃の行動というのはこういう時に生きてくるという事を再認識しながら、修司はベランダにある植木鉢の様子を観察していた。


 植木鉢はベランダの隅に置かれている、ひな壇のような階段状の棚の一段に三つずつ置かれている。修司は花の知識には乏しいので、ここで栽培しているのが何の花なのかは分からなかった。

 植木鉢はどれも同じサイズもので形も同じだ。なので、恐らく落ちたという植木鉢も同じものだったに違いない。

 その落ちた植木鉢が置かれていたと思われる、ひな壇の一番上の真ん中だけがポッカリと開いていた。

 最上段にある植木鉢に植えられている花の花弁部分は、ベランダの柵より高い位置にあった。植木鉢自体は柵の高さよりも幾分下である。

 琢真は植木鉢が落ちてきた時、突風などは吹いてなかったと言っていた。修司の記憶を確かめてみても、あの日強く風が吹いた事はなかったと言う事実に齟齬はない。

 つまり風で落ちた訳ではない。であれば、何故落ちたのか?

 どうやら琢真はその事を、莉理に差し迫る危険の象徴。あるいは不可思議な出来事と捉え、老婆の予知の信憑性を高めていったようだが…………。


 そんな事はありえない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 風もなければ、置かれていた場所が傾斜上だったということもないので、植木鉢が一人でに落ちるなんて事は物理的にありえない。

 つまりその落ちた植木鉢は、何者かかが意図的か偶発的にか分からないが、ともかく人間の手が介在し落とされたという事だ。

 もし意図的に落とされたと考える場合、そこにはどんな思惑があってだろうか。

 植木鉢は三人の間に落ちたそうだ。一体誰を狙ったものなのか。展開からすると莉理と思われるが。

 まあ何にせよ、悪感情があったことには間違いない。

 そしてその時、彼女達を狙いえた人物は――――


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