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インディアンサマー

作者: ジャンダルム

小春日和の深夜、短いスカートの典子は三人の暴漢に襲われる。

 

 小和田典子には、他人に言えない事情を抱えていた。


 半ば強引に引っ越してきた兄のアパートへは、駅から徒歩で帰るのが日常だ。

 この夜は角に在るおでん屋まで、彼の車で送ってもらった。


 終電はとっくに終わっている。


 これほど遅くなったのも初めての事だ。それを裏切るように、小さな街の車列はひっきりなしに続く。


 家まで送るという言葉を断ち切って、左端いっぱいに付けた助手席から強引に降りようとした。彼はその手を引き寄せて唇を近づけるが、助手席のドアを開け放す。運転席に座り直す後頭部が、街の灯を反射した。


 近頃ますます薄くなったと感じる。発車させる彼の手が、またねと振るが何も応えないで歩を進めた。


 アーケードは、このおでん屋の角で終わっている。通いなれた狭い路地は、その先を左に曲がったところから始まるのだ。その入口を挟んだ向側には、一際大きな街路灯が建っていた。煌々とした明かりが、薄暗い角を見下ろしているはずだが、いまはアーケードが邪魔してまだ見えてこない。


 駅から続く、この歩道には人っ子一人いない。夜風が、おでん屋からの匂いを漂わせながら、長い髪と短いスカートの脚をなでていった。


 本道を外れて路地へと入り込む。


 街路灯の明かりを外れると、途端に闇の中へと突入するような感覚に捕らわれた。そこからは、電柱に燈った暗い白熱灯が遠くへ、ぽつんぽつんと続く。


 乗用車が一台分、やっと通れるほどの道幅だ。その路地の両側に続く家並からは、漏れてくる明かりなど既にない。急げば二十分ほどの道程が、この夜更けに限っては、ずいぶんと遠く感じられた。こんな事なら送ってもらうべきだったと一瞬の後悔が過る。


 この路地と並行している隣の路地は、道幅も広くトラックでも通れた。家と家の隙間や隣の路地との連絡路にある空間を狙うように、時々ヘッドライトが過るが、それもしばらくの事だ。別の住宅地へと続くその路地とは、離れるにつれ、連絡路もやがては無くなる。家並も次第に疎らとなり、この先に在る神社の森が見えて来る頃には、田畑の真っただ中だ。


 繁華街の明かりは既に無く、そんな中を典子の靴音だけが、闇の中へと物悲しく響く。時々小石が割れて不協和音が混じると、その前は手入れの行き届いた庭の在る、老夫婦の前だった。こんな典子にも、毎朝にこやかな挨拶を送ってくれる。奥にあるはずの家屋は、当然のように寝静まっていた。最後の連絡路は、その向こうある白熱灯の在る角の家だ。


 もうすぐ師走というのに、この風が妙に生暖かい。まさに小春日和なのか、アメリカではこんな日をインディアンサマーと言うらしい。そんな口紅まであるとか。


 振り返れば、遠くなってしまった角の街路灯は、微かな明かりがぽつんと闇の中に遠く残っている。この時、その街路灯の下に人影らしきものが過った。もちろんはっきりと観えたわけではないが、二人分の影に驚いた。こんな夜更けに何事かと想像が走る。


 でも、おでん屋からの酔っ払いだろうと、それ以上を考えようとしなかった。彼も言うように、私には暗く考えすぎる癖がある。もっとポジテブに生きようと約束したばかりではないかと、忠告の言葉を思い出した。

 すると、その言葉を打ち消すように、微かな靴音が遠くから聞こえる。やっぱり一人ではない。確かに複数の足音が追い掛けてくると覚った、途端に恐怖へと変わる。


 何故かわからないが、ぞっとするようなものを振り切れない。間もなく神社の森が観えてくるはずだと急いだ。


 あの森を抜けた辺りがおよその中間点だから、全行程から言えばまだ三分の一ほどが現在地になる。


 民家はすでに疎らとなり、そこから先の暗い建物は闇の静寂に点在するだけだ。その間を、切り株だけの田んぼや畝だけの畑が、民家をまたぎながら、とぎれとぎれに続く。


 暗い白熱灯を横目に最後の連絡路を通過した。


 この時、背後から甲高い靴音が突然迫ってくる。たったいま通過したばかりの連絡路から現れた音だと直感した。反射的に走り出すも、肩からのポーチが大きく振れて、滑り落ちそうになる。そのストラップを掌に持ち替えるのと、猛ダッシュが始まるのが同時だった。


 追い掛ける掌が伸びて髪を掴む。悲鳴なのか気合なのか、夢中で振り回した典子のポーチが、迫っていた顔面を直撃した。低く唸った男の声は、顔面を覆って蹲った。


 中には化粧品と財布の他には、小物類と携帯が入っていた。


 その携帯が飛び出して、流れる側溝の水に音を立てて落下した。よっぽど打ちどころが悪かったのか、男は蹲ったまま動こうとしない。その傍で、落ちた携帯の明かりが、水の中で消えていくのを観た。同時に、典子のライフラインも消えた事になった。


 以前、靴音は走って来る。


 蹲っている男が、動けない事をもう一度確かめると、脱いだヒールの蔓を手に巻いて、裸足のまま走り出していた。


 もう森までは、走る以外の選択肢がないのだ。だが素足で踏みつける小石が、これほど痛いものだとは考えもしなかった。そして、後ろの様子をもう一度振り返ってみた。姿の無い靴音だけはいぜん甲高く、確実に迫って来る。


 反響要素の無い田畑真っただ中なのに、何故そこまで響くのかと、そんな事が過る。

 走りながらポーチのジッパーを締め直すと、肩から袈裟懸けにした。背後からの靴音は、確かに二人分だと判断できた。


 もう戦う以外に方法は無いのかと思た時、遠くに神社の森がぼんやりと見えてきた。典子にはここに回避する心当たりがあった。追ってくる姿はまだ見えない。とにかく、あの森までなら逃げ切れると想定していた。


 いま追い掛けて来る二人がどのような奴かは知らないが、少しぐらいの、怖いもの見たさも、悪くない気がすると、突然に妙な余裕が出た。


 そんなとき、森の中へと続く石段が、暗い中に白っぽく見えた。


 その石段をすり抜けるように上った。その先にある拝殿からは、裸電球の光が一つだけぽつんと下がっていた。


 心当たりとは、その境内の外れに建っている筈の、小さな物置小屋だ。そこには、掃除道具やら草刈り機などが置いてあったはずだ。

 兄のアパートに引っ越した時、この神社にお参りしていた。その時、開けっ放しの物置に何となく記憶があった。そこを、本殿の方向から脇に向かうと見えてくるはずだ。


 ご神木なのか、大木が光の範囲を狭くしているおかげで、幸いかな死角となっていた。


 路地は、この森を過ぎると、農道といったほうが正解だ。その農道沿いからの物置は、出っ張った森の影になって観ることが出来ない。また、周辺には開けた田畑の他に、建物も人家も無く、アパートまでは平坦な道のりが続くだけだ。だからここからは、兄のアパートが遠くにもはっきりと観えた。二階の角部屋である兄の部屋からも、当然この物置がはっきりと観えていた。


 落ち葉の体積した境内は、素足にも意外なほど優しく、まるで絨毯の上を走っているように感じる。閉じたポーチにはLEDの懐中電灯が入っていたはずだ。ほんの一瞬だからと、物置の引き戸を照らした。崩れるように駆け込むと、弱い光が中の様子を照らす。記憶していたとおり、草刈り機が二台とチェーンソー、他にも、竹ぼうきやら鎌などが整然と壁に並んでいた。その下には赤いンクが置いてある。


 竹ぼうきの柄を抜いて、引き戸の内側から斜交いに施錠した。手作りの物置だが、壁も戸板も以外に確りしているようだ。


 このとき、外から物音が聞こえた。慌ててLEDを消す。すると、誰かを呼ぶ男の声が聞こえてきた。


 こんな事なら、アパートへの農道を走り続けた方がまだ良かったのではと、一瞬の迷いが出た。例え逃げ切れなくても、助けを呼ぶことだけは出来たはずなのだ。


 外からの気配は、この小屋目指して真っ直ぐに向かってくる。と、いう事は、奴らの眼は間違いなく、自分がここに隠れている事を知っているからだ。ほんの一瞬だけと思って、点けたLEDを発見されていたに違ない。


 そのLEDを掌で覆いながら、なにか方法は無いものかと考えを巡らした。だがこんな時こそ、いい知恵などなかなか浮かぶものではない。


 突然、屋根から小さな衝撃音がした。


 これは、この物置の様子を見る為、小石を投げつけて気配を探ろうとしているのだと想像した。


 だが、じっと耐える事の苦手な典子は、我慢できず外の様子覗き見ようとする。床板が軋まないようにそっと移動した。その隙間からは、やっぱり二人組の影が忍び寄って来るのが分かった。

 いるはずのもう一人の姿がない。蹲って動けなかった男は、諦めたのかもしれないと、希望的な事を考えてしまった。


 あの二人は、路地に蹲っていた男を観て来た筈なのだ。もしかして、固いポーチの金属部の衝撃で、大けがをしたのかもしれないと思った。人体の急所と呼ばれるところは、顔面に集中している。その顔面を、例えポーチであっても、金属部が当たれば、鼻の骨とか唇を切ったり歯を折ったりと、最悪は目を怪我する。そうなれば戦意さえ喪失し兼ねないのだ。


 二人組が、物置に逃げ込んだ典子を、確実に目撃していたのであれば、様子見にの為に、わざわざ小石を投げる必要はないのだ。


 さっさと踏み込めばいいのに、何故そこまで慎重になる。


 これは手ごわい相手を、敵にしたときと同じ状況ではないだろうかという説明が残った。

 つまり、奴らも怖いのだ。


 そう結論すると、希望的観測ではなかったと確信した。


 そして、改めて外の様子を観る。角度を変えたり別の隙間から観たりしても、影が見当たらない。


 この時、別の恐怖を認識した。あの二人がどこに居るのか、何をしてくるのかが、まったく解らない。と、いうのが、別の恐怖だ。ちょっとでも覗いてみたいという衝動を抑え切れない。そこで、斜交いに施錠した柄を少しだけ外してみた。


 途端に、引き戸を開けようとする強い力が作用した。


 外しかけた竹の柄を元に戻そうとするが、戻しきれない。あと僅かなところで、引っ掛かりの位置に戻らないのだ。


 相手は二人、このまま頑張っても、体力負けするのは分かり切っている。そこで意表を突くように外した。


 バランスを失ったのか「あ」の声と共に、転倒する音が響く。同時に、開け放たれた間口から転がり込んだ影が、典子に掴みかかろうとする。その瞬間を捉えて、握った柄で顔面を突いた。ポーチでの反撃は弾みだったが、今度は確実に狙っての事だ。


 男は後ろにもんどりうって崩れると、その腕を取って逆関節に、足を掛けて腕折りに持ち込んだ。

 だが、決め切る前に、起き上がったもう一人のタックルで外れてしまった。


 下になっている男の声が「殺せ殺せ」と叫ぶ。


 すると、タックルしてきた男が、何かを掌に持ち、構えていた。

 それが、鋭い光を反射する。咄嗟に大型のナイフだと分かった。


 反射的に、逃げ込んだ典子は、同じ竹の柄で施錠した。


 これで完全に逆上させてしまったと覚った。


 それにしても、あんな刃物まで持ち出すとは…これはもう、ただの強姦魔なんかじゃない。一体何者なんだと、自問する。そして、奴らの目的とは「この私を殺すことなのか」そうだとしたら「そんな奴らがこのまま引き下がるはずがない」と思った。


 恐らく、最終目的を達成するまでは…


 呼吸を整えた典子は、再び隙間から外の様子を窺った。右に左に角度を変え、別の隙間からも覗き見る。


 暫く経っても、姿どころか気配さえ感じられない。


 壁を背に腰を落とすと、奴らに対する考えが余りにも甘かったと思った。こんな殺し屋のような奴らに対抗するには、一つしかない。自分からも殺す覚悟で臨まなければ、この場を生き残れないのだ。


 こんな時にと思いながら、何故か浮かんでくるものを止められない。子供の頃いつも虐められていた典子は、学校からの帰り道が怖くて、いつも兄の後を追い掛けるようして帰宅していた。その兄が空手道場に通うようになったのが、四年生に上がった年だった。典子はまだ二年生。兄と一緒に居る時は虐めに遭うことなど一度も無かった。


 当然、いつも兄と一緒に居る事が典子の日課になった。だから、道場に通うことも日課になっていた。


 だが、典子自身が、自分の想いに気が付いたのは、中学生に上がってからだった。

 やがて、大学へと進学した時、自分の戸籍を見てしまった。そこに書かれていた事は、典子にとっては衝撃的な事の筈だが、何故かほっとするような想いに包まれた。


(この事を、兄は知っているのだろうかと、引っ越しの終わった翌日に訊いていた)


 そんな日が続くうち、典子の中には次第に変化が現れ、蝕むようになった。派手な服装になったのもこの頃からだ。車で送って来た男は、そんな典子の隙間に入り込んできた男だった。

 まるで、女の弱みに付け込む、寄生虫のように感じ始めた。


 突然、激しく叩く音に引き戸が揺れた。蹴ったのだろうか、体当たりしたのだろうか。鳥が一斉に羽ばたきを始めると、次々と別の群れにも伝播する。一瞬のうちに、森全体が羽ばたきと鳴き声の渦に変わった。


 驚いた男たちも叩くのをやめる。


(すると「なんだ。知っていたのか」と、そっけない一言が返ってきた)


 典子は、手で覆いながらLEDで照らし出す。するとチェーンソーと一緒に置いてある赤いタンクに注目した。それはガソリンだと直感したからだ。更に、ガラス瓶まである。急いでガソリンを注入すると、ほとんど使った事のないライターを、ポーチから取り出した。これは、たばこ好きの彼の為に買ったものだ。


 紙縒りにしたティシュを瓶の口から差し込み、火炎瓶とした。


(だが、この時の兄には、既に彼女以上の存在があった。いや、兄はもう夢中になっていたのだ。とても、典子が入り込めるような状態では無い)


 男たちは、板の弱そうなところを狙って、ナイフを差し込んできた。隙間から鋭い刃先が光る。場所を変えては、位置を変えては、次々に差し込んでくる。まるで典子を負い掛けてくるように思えた。


ほんのちょっと、立ち止まった瞬間、その刃が脇を掠めた。典子の細いウエストなど、貫通して半分も余るような刃渡りには、串刺しにされる恐怖があった。


 そして、ついにはバールのようにして、こじ開けようとする。釘の抜ける高周波が耳を刺した。もう一人は、尚も激しく叩き続けるが、飛び立った後の森は反応しなくなっていた。それに乗じて、男たちは更に「出てこい。殺すぞ」と叫び続ける。男たちも、この神社が無人である事を知っているのだ。


 とうとう一部の壁が湾曲して、止めてある板が外れそうになった。


「出てこい」


 そして、外れそうになった板の隙間に指を掛けた。その指を狙って、ポーチを打ち付けるが、思うようには叩けない。


 堪らず、火炎瓶に火を点けた。内部が一瞬の明かりに照らしだされると、再び施錠を外して、こっちから引き戸を開けた。


 今度は、いきなり飛び込んでは来なかった。そこには、ナイフを構えた男が、狭い中へと腕を伸ばしてくる。咄嗟に持っていた火炎瓶の口を男に向けた。


 その瞬間、炎が飛び散る。


 火の付いた顔面に、もう一方の手を当てながら、ナイフを闇雲に振り回す。その後ろから、竹の柄を顔面に受けた男が「殺せ、殺せ」と連呼していた。


 すると、もう一人の男が現れた。新手かと思ったが、その顔面が、闇の中で真っ赤になっているのが分かった。


「新手じゃない」


 あれは、ポーチの反撃を受けて、路上で蹲っていた男だったと、分かった。


 その男が「俺だ。ナイフを返せ」と叫ぶなり、ふらつきながら振り回す男の掌からナイフを取り上げた。そのまま、典子に向かって来る。

 明らかに逆上していると思った。


 握ったナイフを右に持ち替え、振るためのタメを作ろうと、正面ががら空きになろうとする。その瞬間を典子の腸蹴りが捉えた。


 腹を抑えて、横たわる男を見下ろして、兄が立っていた。


「こんな技をモロに食らえば、関取でも暫くは動けない」


 その言葉どおり男は、低く唸りながら横になって腹を抱えていた。その傍らで、転がったアーミーナイフが、不気味な光を放っていた。


 三日後、典子が入院しているベッドに兄が来ていた。

「操作に当たった刑事さんから聞いて、襲って来た三人は、表向きには興信所の経営者と二人の従業員だと判明した」


「ところが、実態は暴力団の構成員で、揺すり集りを常習としていた」

「つまり、興信所で得た情報をもとに、金蔓を得ようとしてきたやっらだった」

「その情報の出元が、リコも知っている外科医の奥さんだ」

 この瞬間、何もかも理解した典子の眼に、涙が溢れて止まらなかった。


 兄は「僕こそ悪い事をした。うすうす分かっていながら、長い間さみしい想いをさせて、本当に済まなかった」


典子が、大きく首を振ると、兄はその手を取って「許してもらえるなら…これからでも…戻れるなら…どうか許してほしい」そう言って、小さな化粧ケースを枕もとに置いた。


ここに表現したのは、偶然にも戦う術を持っていた事だ。実社会では、このような偶然などあり得ない。例え、夜道ではなくとも、身に迫る危険に対しては、回避できる備えを持ち続けることが、最善である。


アルファポリスに掲載中

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