第04話 初めてのダンジョン探索 中編
「うっわ。すっげここがダンジョンか。」
俺は驚きのあまり声を出してしまう。今俺の目の前にはあたり一面草原が広がっている。
「さっきまで石造りの階段だったはずなのに急に草原になったぞ。なぁ朔ダンジョンってやべぇな。」
神田が俺と同じ反応をする。いやまぁ絶対におんなじこと思うよな。
「そうだな。入口の時点でもそうだったが入口といい一層と言い本当に不思議だな。ダンジョンって。」
「これどんな原理でなってんだろうなぁ〜。わかんねぇよな。」
俺たちはそんなことを言い合いながら草原を歩いていく。あってか忘れてたけど武器持っとかねぇとな。
「なぁ神田、一応ダンジョンの中に入ったんだし武器持っとこうぜ。」
「そうだな。待っとくか。」
俺たちはダンジョン入り口で配布されていたバットを手に取る。
「てかこれってなんの素材でできてるんだ?なんのやつかわかるか朔?」
「いや、わかんらん。見当もつかない木でできてるしそれ系統のモンスターか?」
「やっぱりわかんねぇか。木のモンスターってどんな見た目なんだろうな。やっぱそのまま木みてぇな形なのかな?」
「木のモンスターならそうなんじゃね?知らんけど。」
それにしてもこの木製バット軽いなぁ本当にどんな素材でできてるんだろうな。わかればいいのに。
ん?わかればいいのに?
あれ……そういや俺鑑定ってスキル持ってたよな?
なんでこんな大事なこと忘れてるんだよ俺。自分のスキルの事くらい把握しておけよ。
我がことながら自分に呆れる。
「なぁ神田悪い。俺これなんの素材かわかるわ。今のいままで忘れてたけどそういえば俺鑑定のスキル持ってたわ。」
「おい笑、そんな大事なこと忘れてんなよ。たくっ、お前意外と抜けてんのな。」
「失礼な初めてなんだからしょうがないだろ。」
俺は神田にそんなことを言いながら鑑定を使ってみる。スキルの使い方って念じればいいのかな?俺はバットに向けて鑑定と念じてみる。
木製バット
トレントと言うモンスターから落ちる枝で作った簡素なバット。見た目の想像より軽くかなり振り回しやすい。
スライムであればこれ1発で倒すことができる。
「やっぱしトレントっていうモンスターの素材でできてるみたいだ。スライムだったら1発で倒せるみたいだぞ?」
「やっぱ想像通りトレントの素材か〜。てかスライムだったら1発で倒せるんだな。じゃあそれ試すためにモンスターでも探すかぁ〜。」
「そうだな。時間も有限だしそろそろ探し始めるかぁ。」
俺たちはモンスターを探すべく草原を歩いてゆく。しばらく歩いているとスライムが数匹現れた。
「おい神田見ろよ。スライムだぞ。」
「見てるよ朔。何匹もいるな。ひぃふぅみぃ……
四匹いるな。1人二匹担当な。」
神田はそんなことを言いながらスライムたちの中へ飛び込んでいく。
「たくっ、しょうがねぇなぁ!」
俺は神田に続きスライムたちの中へと飛び込む。
バットをスライムに向けて振る。鑑定通りだと1発で倒せるみたいだがどうだ?
スライムにバットが当たる。スライムは粒子状になって消えていく。スライムがいたはずの場所には小さい魔石が一つ落ちている。
「よしっ、一体目。」
俺はそのまま二匹目にバットを振ろうとする。スライムはそんな俺に気付き一目散ににげようとする。
「ちっ、逃すかぁ。」
俺は一か八かバットをスライムに投げる。ギリギリなんとかスライムに当てることができた。
スライムは先ほどの個体と同じように粒子状になり消えていく。
「神田!こっちの方は終わったぞ。」
「オッケー朔。俺もコイツで終わりだ!」
神田は最後のスライムにバットを振りスライムを倒す。
「いやー無事に終わったな。スライムとはいえ特に何事もなく終わってよかったよ。」
「そうだな、無事終わってよかったわ。
てかそれよりさ、ドロップアイテム拾おうぜ〜」
「そうだな。早く拾おうぜ。」
俺たちは各自倒したスライムのドロップ品を見ていく。
魔石が二つ落ちたな。一応鑑定してみるか。
スライムの魔石
スライムの全てが込められた綺麗な石。魔石のレア度としては最下位になる。スライムを倒した際に得られる経験値は雀の涙ほど。
いや、スライムのだからそこまでよくないだろうとは思ってたがこんなひどい言われようある?見てて悲しくなったんだけど。
「朔〜。ドロップ品見てきたぜー。魔石が二つ落ちてたわ。」
噛んだが俺の方に来るどうやらドロップ品は2人とも同じだったようだ。鑑定結果は………言うのはやめておくか。
「おかえり神田。俺もお前と同じのしか落ちなかったわ。」
俺はそう言いながら神田に魔石を二つ見せる。
「結構スライムだったら楽勝だったからこんな感じで時間までスライムを狩るか。」
「そうだな、後二十分くらいだから十五分間スライムを狩るか。」
俺たちはその後十五分間スライムを狩り続けた。
結果は神田がスライムを合計21匹倒し魔石を16個手に入れた、俺が19匹倒し、魔石を14個手に入れる結果となった。
スライムを倒していてわかったんだが数匹に一体は何も落とさないスライムがいた。
「時間だし入口に戻るか。」
「そうだな〜いい時間だし入口に戻るか。」
俺たちはダンジョンを後にする。