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第9章 導かれた手掛かり

陽太は倉庫で見つけた彫刻を手に取り、村で起こり始めた異常な現象と儀式との関係を考えていた。翔太もまた、不安を隠せない様子で、辺りを警戒している。


「この彫刻、ただの飾りじゃないんだ。何かの鍵かもしれない」


陽太は彫刻に刻まれた奇妙な模様をじっと見つめ、模様に何らかの法則性があることに気づいた。これが単なる装飾ではなく、何か意味を持っている可能性があると直感したのだ。


「この模様、見方によっては文字みたいに見える…」


陽太は慎重に彫刻を回転させながら、模様の一部を観察した。そして、ある特定の角度から模様を見ると、確かに文字のような形をしていることに気づいた。


「翔太、これを見て!この模様、文字になってる!」


「本当だ…でも、これって読めるのか?」


陽太はその文字列を紙に写し取ると、見たことのない記号のような形に戸惑った。日本語や英語のような一般的な文字ではない。それはもっと古い、何らかの暗号のように見えた。


「これ、村の古い文書に書かれてたものに似てるな…でも、これをどうやって解読すればいいんだろう」


陽太が書き出した文字列は次のようなものだった。


「◼︎◻︎◼︎」「◻︎◼︎◼︎」「◼︎◻︎◻︎」


これらの記号は何かを指し示しているのか?読者はここで、陽太と一緒に暗号の解読を試みることになる。何かしらの法則が存在し、村の歴史や神話に関する手掛かりが隠されているとしたら、それがこの彫刻に刻まれた暗号に関係しているのかもしれない。


陽太は一旦深呼吸をし、冷静になって暗号を再び観察した。


「これは村の神話に関係してるんだ。洞窟の石像もこの彫刻と似ているし、あの儀式とも何か関連があるはずだ。村の儀式はただの伝説じゃない…本当に何かを封じ込めようとしていたのかもしれない」


翔太は陽太の言葉を聞き、首をかしげながらも賛同するように頷いた。


「でも、この暗号が解けたとして、次に何をすればいいんだ?」


「それが問題だね。まずは村の誰かにこの文字を見せるべきだと思う。けど、誰に?」


陽太は村の古い住人や、神社に関わっている人物の顔を思い浮かべた。彼らなら、この文字や彫刻について何か知っているかもしれない。だが、村上たちのような者に見せるわけにはいかない。誰が味方で、誰が敵なのか、慎重に判断する必要があった。


「まずは、神社の歴史を管理している人に聞いてみよう。村の伝承や儀式に詳しい人なら、この暗号について何か知っているかもしれない」


陽太と翔太は再び神社に向かうことにした。だが、村で広がる不安定な空気は日に日に強まっているように感じた。停電や異音、墓地の異変など、村のあちこちで奇妙な出来事が相次いで起きている。村人たちの表情にも恐怖が浮かび始めていた。


「このまま放っておけば、村全体が危険な状態になる…」


陽太は村の安全を守るためにも、真実にたどり着く必要があると決意を固めた。


神社に着くと、そこには年老いた神主が一人、拝殿の前で何かをしていた。陽太はその神主に近づき、礼儀正しく話しかけた。


「すみません。この村の古い儀式や伝承についてお伺いしたいことがあるんですが…」


神主はゆっくりと陽太に振り向き、深い皺の刻まれた顔を微かにほころばせた。


「お前さん、また何か見つけたのかい?最近、村では妙なことが多くてな…何か大きなものが動き始めているのかもしれん」


陽太は手に持っていた彫刻を神主に見せ、模様について質問した。神主はしばらく彫刻を眺め、静かに頷いた。


「これは…村に伝わる非常に古いものだ。この模様は、何世代にもわたって受け継がれてきた暗号だと聞いておる。しかし、それが何を意味するのか、私には詳しくはわからん。ただ、神社の奥にある古い書庫には、かつての村の長老たちが書き記した書物が残っているはずじゃ」


「その書物を見せていただけますか?」


神主はゆっくりと頷き、二人を書庫へと案内した。陽太と翔太は書庫に入ると、古びた本や巻物が所狭しと並ぶ棚の中に、それらしき巻物を探し始めた。


陽太はようやく一冊の古い巻物を見つけた。そこには村の儀式や、外部からの侵入者を防ぐために行われた防衛術が詳細に記されていた。そして、そこに彫刻に刻まれていた同じ模様が描かれていた。


「これだ…」


巻物によると、この模様は「村を守るための儀式」の一部であり、村が何らかの大きな災厄に見舞われた時にのみ使われるものだった。そして、その災厄とは、封印されていた「異物」が解き放たれた時に現れるという記述があった。


「異物…まさか、儀式を止めたことでそれが解き放たれたのか?」


陽太の心に不安が広がった。しかし、真実はまだ完全に明らかではない。次に彼がすべきことは、この「異物」の正体を突き止め、村に降りかかる災いを防ぐことだった。


「これ以上、時間がない…」


陽太は巻物を手に、村全体に広がる不気味な空気を感じながら、さらなる調査を進める決意を固めた。村に隠された真実を解き明かし、村を救うことができるのか?読者は陽太と共に、謎を一つ一つ解き明かしていく。

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