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第3章 眠る真実への扉

古びた日記を手にした陽太は、胸の中で疑念が膨らんでいく。村に隠された「秘密」とは一体何なのか?なぜ子供たちがその秘密に関わるのか?その答えを知るために、さらに深く調べる必要があると感じていた。


翌日、陽太は学校で翔太に話しかけた。彼は昨晩見つけたことをすぐに伝えたかったが、翔太が恐れている神社のことを話すのは慎重にしなければならない。


「昨日、ちょっとあの神社の近くまで行ってみたんだ」


「えっ、本当に?大丈夫だったの?」


翔太は驚いた様子で陽太を見つめた。


「うん、大丈夫だよ。でも、やっぱりあそこには何かある気がするんだ。変なことがあって…古い日記を見つけたんだよ」


陽太はさりげなく日記のことを話したが、翔太は一気に顔を曇らせた。


「日記…それ、村の人たちが言ってたやつかもしれない。昔、あの神社に関わった人が書いたって聞いたことがある。でも、それを見た人たちは皆、不幸になったって噂があるんだよ」


陽太はその言葉を聞いて、一瞬ためらった。翔太の表情からは、単なる迷信ではなく、村の人々が本気で信じている何かがあることが伝わってきた。


「不幸、か…」


陽太は無意識に口元で呟き、改めて日記の内容を思い出した。そこには、失踪事件や村の歴史についての詳細が記されているのではなく、断片的な情報が散りばめられていただけだった。しかし、ある言葉が特に彼の心を引っかけていた。


「村の秘密は、ある儀式によって守られている。儀式が途絶える時、その守護は終わり、犠牲が払われる」


「儀式…守護…」


陽太の頭の中で、これまでの手がかりが一つに繋がり始めた。この村で起こっている失踪事件は、単なる犯罪ではない。何か超自然的な力、あるいは古代から続く儀式の影響が関わっているのかもしれない。子供たちはその「犠牲」として選ばれている可能性がある。


「でも、それなら何とかしないと…」


陽太は心の中で決意を固めた。村の謎を解くためには、儀式に関するさらなる情報を集めなければならない。そして、その情報を持っている人物が一人浮かび上がった。村上修一だ。


***


数日後、陽太は村上修一の家に向かった。彼は村の外れに住む中年の男性で、村の歴史や古い伝統について詳しいことで知られていた。陽太は、彼が何か知っているのではないかと睨んでいた。


村上の家にたどり着くと、陽太は深呼吸してドアをノックした。やがて、しばらくしてドアが軋みながら開き、中から村上が顔を出した。


「おや、雨宮くんだったかな?どうしたんだい?」


村上はにこやかに陽太を迎えたが、その目の奥には何か警戒心のようなものがちらついていた。


「少し、お話を伺いたくて…村の昔のことや、神社のことについて聞きたいんです」


陽太が静かに切り出すと、村上の顔色が一瞬変わった。だが、すぐに笑顔を取り戻し、家の中に招き入れた。


「まあまあ、座りなさい。昔の話か…この村には色々な伝説や話があるからね。何を聞きたいんだい?」


陽太は村上の表情を観察しながら、慎重に言葉を選んだ。


「神社の儀式について、何か知っていますか?最近、神社に行ったときに古い日記を見つけたんです。その日記には、儀式が途絶えると村に何かが起こるって書いてありました」


その瞬間、村上の手がわずかに震えたのを陽太は見逃さなかった。


「日記、だって?」


村上は少しの間沈黙したあと、低い声で話し始めた。


「ああ…儀式のことか。それは村に伝わる、古い守りのことだ。かつて、この村は大きな災いに見舞われた。人々はその災いを鎮めるために、定期的に儀式を行ってきた。だが、時代が進むにつれて、その儀式は次第に廃れていったんだ」


陽太はその話を聞きながら、さらに核心に迫ろうとした。


「その儀式が途絶えたことで、村に悪いことが起きているんでしょうか?それが子供たちの失踪と関係しているんじゃないですか?」


村上は黙り込んだ。その目には何か後悔や恐怖のような感情が浮かんでいる。しばらくして、彼は深いため息をついた。


「儀式が途絶えたことで…いや、何かが解き放たれたんだ。私にはそれ以上のことは言えない。だが、気をつけるんだ、雨宮くん。君は今、深い闇に足を踏み入れようとしている。戻れなくなるかもしれないぞ」


陽太はその言葉を聞きながら、村上が何か重要なことを隠していると確信した。彼が語らなかった「何か」、それがこの事件の鍵となるに違いない。


次の行動を考えながら、陽太は家を後にした。村の謎はますます深まり、彼の前にはさらなる試練が待ち受けている。


続く…

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