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50話

 次の日の朝。


「さっむ……」


 今日はいつもよりも一段と寒い朝だった。いやまぁそりゃあ冬真っ只中だから寒いのは当たり前なんだけど……でもこの数日で一気に寒くなってきた気がする。


「いやもう……さっさと春になってくれないかなぁ」


 やっぱり寒い季節よりかは温かい季節の方が好きなので、早く春になってもらいたいものだ。でも温かい春を迎えるためには、その前にある期末試験を無事に乗り切る必要があるんだけどさ。


(ま、期末試験の勉強も頑張っていかないとだな)


 俺はそんな事を思いながら、先日買った新しいマフラーを首元にぐるぐると巻きつけて学校へと向かって行った。


◇◇◇◇


 電車を降りてそのまま学校に向かって歩いている途中で後ろから声をかけられた。


「あれ、矢内君じゃん」

「うん?」


 声の感じからしてそれは女子のようだった。俺は誰かなと思いながら後ろを振り返ってみるとそこにいたのは……


「あっ、水瀬さん! お、おはよう!」

「うん、おはよう矢内君」


 するとそこにいたのは水瀬さんだった。そしてその時、ふと昨日の水瀬さんのショーパン姿の写真を思い出して俺は少しだけドキっとしてしまった。


 いや水瀬さんにひざまくらをしてもらった奴が今更写真なんかでドキドキしてんじゃねぇよって思うかもしれないけど絶対無理に決まってるからな!


「ねぇ、せっかくだし良かったら学校まで一緒に行かない?」

「え?? いやそれは俺としては全然構わないんだけど……」


 そう言って水瀬さんはいつの間にか俺の隣を歩いてきてくれていた。いや水瀬さんがそう言ってくれるのは普通に嬉しいんだけど、でも……


「でもさ……いいの? 放課後と違って朝は生徒が沢山通ってるよ? 俺達が付き合ってるのって全員に秘密にしてるんだし、朝っぱらから一緒に登校するのはマズくない?」


 俺と水瀬さんがお付き合い(嘘)をしているという事は学校の人達には秘密にしている。だから生徒が滅茶苦茶多い朝の時間帯に一緒に登校するのは色々と面倒な事が起きるんじゃないかなと思って俺は水瀬さんにそう言ってみた。


「んーまぁ別に一緒に登校するくらいなら大丈夫じゃない? それにアタシも矢内君も同じクラスなんだし、朝からクラスの子と一緒に登校したからと言って別に何か噂されるような事にはならないでしょ」

「うーん……まぁ確かにそう言われてみればそうなのかな?」


 確かに水瀬さんが全然違うクラスの男子と一緒に登校してたら周りの生徒は変に勘ぐってくるかもしれないけど、でも同じクラスの男子と一緒に登校してる分には別に不自然でもないのかな? いやそんな事は全然ないような気もするんだけど……うーん、まぁいいか。


「うん、それじゃあ一緒に学校まで行こうか」

「うん、そうしよう」


 という事で短い距離だけど俺は水瀬さんと一緒に学校まで歩いて行く事にした。まぁ水瀬さんからのお誘いを断る道理なんて俺には一切無いしね。


「そういえばそのマフラー温かそうだね。今日から着け始めたの?」

「うん、そうだよ。めっちゃ温かくて助かってるよ」

「あはは、それは羨ましいなー」


 俺はマフラーをぽんぽんと叩きながらそう言うと水瀬さんは笑いながらそう言ってきた。


 ちなみに水瀬さんはマフラーやコート、ストッキングなどの防寒対策は一切しておらず、いつものブレザーとミニスカート姿で登校していた。


「そういえば水瀬さんはマフラーとか防寒対策はまだしなくても平気なの?」

「うん、全然大丈夫だよ。実はアタシ結構寒いの得意なんだよね。だから今までも冬場にコートとかマフラーを身に着けて登校した事ってあんまりないんだよね」

「へぇ、そうなんだ! 寒いのが得意なのはめっちゃ羨ましいな!」

「まぁでもその代わりに暑いのだけはマジで苦手なんだけどね。もう毎年夏になるとずっと溶けちゃってるよ、あははー」

「あはは、めっちゃわかるわー。俺も暑い方が苦手だから今年の夏とか全然外に出なかったよ。それに何だか年々夏の平均気温上がってる気しない?」

「あー確かに確かに! しかも去年の夏とか最高気温40℃越えとかもあったよね! 本当に死ぬかと思ったよ、あはは!」

「あはは、本当にそうだよね」


 という事で俺達は冷たい冬場の空気を肌で感じながらも去年の夏の暑さについての話で盛り上がっていった。

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