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04話(由美視点)

(由美視点)


「あのさ……アタシ、人に彼氏の存在を知られるのって好きじゃないからさ……だから私達が付き合ってるのは誰にも言わないってお願いできる?」

「あぁ、うん、もちろん良いよ! じゃあ、改めてよろしくね!」


 私がそう言うと、矢内君は屈託のない笑顔でそう答えてきた。


「じゃあ誰かに見つかったらあれだろうから、俺は一足先に教室戻るね。 それじゃあ、また明日ね、水瀬さん!」

「え? あ、あぁ、うん。 また明日ね」


 そう言って矢内君は校舎裏から教室へと戻って行った。 何とも律儀な男子だなと思いながら私は彼の背中を見送った。


「……何というか、拍子抜けだったなぁ」


 矢内君が校舎裏から見えなくなったのを確認し終えた私はそう一言だけ呟いた。 いや本当に何というか拍子抜けな告白だった。 まぁ噓告白なんだけどさ。


「……というかアタシ、初めての告白だったんだけど」


 そう、実はアタシはこれが初めての告白だったんだ。 だってアタシはいつも男子から告白をされてた側だからさ。


 だから今回の初めて告白をする事になったので、実はちょっとだけ緊張をしていたんだ。 まぁ嘘告白ではあるのだけど、告白自体初めてなんだから緊張はするよ。


 それなのにその初めての告白があまりにもあっさりと成功してしまったので、アタシ的には何だか拍子抜けしてしまったという訳だ。


「うーん、いやでもなぁ……まさかあのお願いまで受け入れてくれるなんてね」


 まさか“誰にも付き合ってる事を言わないで欲しい”というお願いも即座に受け入れてくるとは思わなかった。 正直ここは絶対にゴネてくるだろうなと思っていたポイントだったのに、まさか何も言わずにあっさりと受け入れるなんてね。


「……他の男子だったら絶対に嫌だって言うよね?」


 少なくともアタシが付き合ってきた男子達は、付き合い始めたその日からアタシにベタベタと触れてきたり、どんな所にいてもスキンシップを求めてきたりと、常に彼氏面してくるような男子しかいなかった。


 まぁ別に今まで付き合ってきた元彼達のそういう態度が嫌だったとかではないんだけど……でも矢内君みたいなあっさりとしたタイプの男子もいるという事にとても驚いてしまった。


「そういえば矢内君って結局どんな男子なんだろう?」


 アタシの通っているこの学校は中高一貫の学校で、アタシも矢内君も中学の頃からこの学校に通っている。 だから矢内君とは中一の頃からの知り合いではあるんだけど、でも矢内君と話した事は多分一回も無い。 だから矢内君がどんな人間なのかもアタシはよく知らない。


 矢内君の知っている事と言えば、勉強が滅茶苦茶出来るって事くらいかな。 いつも学年成績が上位なのは知っている。 アタシの友達も皆彼の事を“ガリ勉オタク”と呼んでいるくらいだしね。


「でもさ……ふふ」


 私は先ほどの告白を思い出して少し笑ってしまった。 いや今日初めて告白してみてわかったんだけどさ、告白をした相手が喜んだ顔をしてくれるのはちょっと嬉しいもんなんだね。


 さっきも言ったけどアタシは常に告白をされていた側だった。 しかも告白自体もしょっちゅうされてきた方だから、アタシは男子から告白をされたからと言っていちいち喜びながらその告白を受け入れるというような事もしてなかった。


 まぁ告白されてそれなりに好きな相手だったら試しに付き合うかなぁっていう感じのスタンスでいつも告白を受けていた。


 いやそう考えると、今までアタシに告白してきた男子達にはちょっと申し訳ない事をしてしまったかなと思った。 告白を受けた時に多少は喜んであげるべきだったかなぁ……


 という事で今回の噓告白のおかげでアタシは新しい知識を得る事が出来たのであった。 うん、これは次の彼氏を作る時に参考にしよう。


「……って、いや違う違う。 今のアタシは矢内君の彼女だからね」


 いやまぁ嘘の彼氏なんだけどさ。 でもそう考えると罰ゲームとはいえ矢内君にも申し訳ない事をしてしまっているよなぁ。 しかも最終的には矢内君を振らなきゃいけない訳だしさ。


「……はぁ。 まぁ、しょうがない、か……」


 という事で矢内君への罪滅ぼしという訳ではないけど、矢内君と別れるまでの間はせめて多少は彼女らしく振舞ってあげようと思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 短編の方も良かったが連載になって由美視点が読めるので余計に分かりやすく良くなった。 [一言] 短編と同じ展開だと由美の成績が上がるのに時間が掛かるが教えて貰っているところに惚れるのだろうし…
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