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34話

 待つ事数分、水瀬さんは両手に何かを持って広場のベンチ前に帰って来た。


「お待たせー! それと、はいこれ!」

「う、うん。 これって……クレープ?」


 水瀬さんから手渡されたのはイチゴとチョコが沢山入ったクレープだった。 クレープは出来立てのようで、手に持ってみると少しだけ温かった。


「そうそう、クレープだよ。 出来立てだから温かい内に食べちゃおうよ」

「う、うん、それじゃあ頂きます」


 俺は訳もわからない状態のまま、とりあえずクレープを一口食べてみた。 クレープ生地は思ってたよりもサクサクとした触感でとても美味しかった。


「あ、めっちゃ美味しい」

「お、そっかー! うん、それなら良かった!」


 クレープ生地も美味しいんだけど、中に入っているイチゴの酸味とチョコや生クリームの甘さがちょうど良い感じにマッチしていてとても美味しかった。 あぁ、なるほど、だからさっき水瀬さんは俺に好きな果物を聞いてきたのか。


「いやそれにしても、何でいきなりクレープ屋さんにきたの? 何か季節限定のクレープみたいなのを食べにきたとか?」

「ううん、違うよー。 ほら、私のクレープも普通のバナナクレープだしさ」

「え? あ、本当だ」


 水瀬さんはそう言って自分の手に持っているクレープをこちらに見してきた。 確かに中に入っている具材はバナナと生クリームが入った普通のクレープだった。


「うーん、じゃあ……何で唐突にクレープ屋に行きたくなったの?」

「ふふ、だって矢内君言ってたじゃん? 勉強の合間とか疲れてる時には甘い物が凄く食べたくなるんでしょ?」

「え? ……あ」


―― いつも勉強の合間にチョコとか甘い物を爆食いしちゃってるし、なんだか疲れてる時には甘い物が凄く食べたくなっちゃうんだよね


 確かに、数日前に水瀬さんと一緒にお昼ご飯を食べた時にそんな事を言った気がする。


「……うん、そういえば前に水瀬さんにそんな事言ったね。 あ、それじゃあ今日ここに連れてきてくれたのって?」

「うん、そうだよ。 何だか矢内君が何だか疲れた顔してるからさー、だから甘い物でも食べて元気出しなよって事で連れて来たんだよ」


 どうやら水瀬さんは俺の疲れてる顔を見て、以前の俺との会話を思い出して甘い物を食べさせるためにここまで連れてきてくれたようだ。


「そっか。 うん、ありがとうね、水瀬さん。 確かにこれを食べれば元気が出そうだよ」

「そっかそっか、それなら良かったよー」

「うん。 それにしても久々にクレープ食べたけどさ、ここのお店のクレープかなり美味しいね。 生地も具材もどっちも美味しくてまた食べたくなりそうだよ」

「おっ、わかるー? アタシもここのクレープ屋さんが一番好きなんだー。 友達とも時々ここのクレープを食べに来たりするんだよねー」

「へぇ、そうなんだ、それじゃあここは水瀬さんの行きつけのお店なんだね。 って、あ、忘れてた。 クレープの料金って幾らだった?」


 俺はそう言ってポケットからサイフを取り出した。 すると水瀬さんは手を出して制止してきた。


「あぁ、いいよいいよー。 このお店のクーポン券が結構余ってたからさ、それ使って交換したから実質無料みたいなもんだし、お金は気にしなくていいよー」

「あ、そ、そうなんだ。 いやそれにしてもこのクレープ屋さんのクーポン券まで持ってるなんて凄いね。 水瀬さんはここのクレープ屋さんのかなりの常連さんだったりするの?」

「んー? あぁ、違うよー、あはは」

「え? 違うって?」


 俺が水瀬さんにそう言うと、水瀬さんは笑いながら違うと否定してきた。 あれ、でもそれじゃあ何でそんなにクーポン券を持ってたんだろう?


「うん、あのね、ここのクレープ屋さんはさー、アタシのバイト先なんだよ」

「へぇ、そうなんだ……って、えっ!? そうなの!?」


 甘い物を食べに連れてこられた場所はまさか水瀬さんのバイト先だったらしい。 いやまさか水瀬さんのバイト先に連れてこられたとは1mmも思ってもいなかったので、俺はかなりビックリとしてしまった。 そしてそんな俺の表情を見て水瀬さんはあははと笑いながら続きを喋り始めていった。

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