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01話

「はい私の勝ち!」

「げっ……」

「あはは! じゃあ罰ゲームは由美に決定ね!」


 教室からは複数人の女子達の声が聞こえてきた。 どうやら残っていた女子達は何か遊びをしていたらしく、そして“由美”という女子がちょうど負けた所のようだった。


「それで、罰ゲームって何よ?」

「そんなの告白に決まってるじゃん!」

「は、はぁ? そんなの嫌に決まってるじゃん」

「あはは、別に良いじゃん。 何も本当に告白しろなんて言ってないよ、噓告白よ噓告白!」


 どうやら教室にいる女子達は罰ゲームで噓告白をさせるらしい。 うーん、この話し声からしてこれは……俺のクラスのギャルグループの面々だろうな。


「はぁ、しょうがないなぁ……それで? アタシは誰に嘘告白すればいいのよ?」

「んー、まぁガリ勉オタクの矢内辺りでいいんじゃない?」

「あはは、何それ最悪じゃんww 由美可哀そすぎるーww」

「アイツ中学の頃からずっと勉強ばっかりだから女子耐性絶対無いよねw 由美に告白されたら顔赤くしながらめっちゃ挙動不審になりそーww」

「あはは、それ簡単に想像つくわw」


 そして今度は罰ゲームの嘘告をする男子生徒を決めたようだ。 その対象となる男子生徒はギャル達からは“ガリ勉オタク”と呼ばれているらしい。 いや何とも酷いあだ名だなぁ。


「……ちなみにだけど、もしそれでオッケー出されたらアタシはどうすればいいのよ?」

「えー? あはは、そん時は付き合ってあげればいいじゃん!w どうせ噓告白なんだししばらくしたら別れちゃえば?」

「ってかガリ勉オタク君が由美みたいな美人を振る訳なくない?w どうせならさ、オタク君にたっぷりと夢見させてあげれば? オタク君涙を流して喜ぶんじゃない??w」

「あぁ、いいじゃんそれ! ガリ勉オタク君としばらくの間ラブラブな生活してあげてさぁ、そんでしばらく経ったらネタバラシしてこっぴどく振るとかどうよ??」

「え、何それ最高じゃん!ww オタク君の絶望する顔とか見てみたいわーw」

「いやいや鬼畜すぎでしょw でも振られたショックでオタク君のテスト成績めっちゃ落ちたらクッソ笑えるよねww」

「あはは、普通にありえそーww」


 いや何とも悪魔じみた罰ゲームを思案しているようだ。 噓告白に選ばれた男子生徒には頑張って生きてくれと言わざるを得ないって!


「ちょっと、アンタらは何もしないからって好き勝手言わないでよ。 ってかそれだとアタシじゃなくて矢内君への罰ゲームになってない?? 普通に矢内君が可哀そうでしょ」

「えー、いいじゃんいいじゃん! ってか由美みたいな子から告白されるってだけでガリ勉オタク君からしたら幸せでしょー」

「はは、そうだよそうだよ! 少しの間だけでも幸せな恋人生活をプレゼントするんだからむしろオタク君は有難がるっしょ?w」

「う、うーん、そうかなぁ? まぁ、アタシはいいけどさ、別に今彼氏いないし」

「お! やった! じゃあ罰ゲームは明日からね! 流れとしては……」


 という会話を偶然にも俺は外の廊下で聞いてしまった。 まぁとりあえず先に言っておくんだけどさ……俺別にオタクじゃないんだけど!?


 という事で今更だけど俺の名前は矢内圭吾、高校一年生の男子学生だ。 成績はそれなりに良い位しか取り柄は無い男だ。 性格は割と大人しいタイプであり、俺含めて周りの友達もどちらかというと陰キャ寄りの子達ばかりだから、クラスメイトのギャル達は俺の事を“ガリ勉オタク君”と呼んでいるのだと思う。


 そして先ほど罰ゲームで俺に噓告白をする事となった女子の名前は水瀬由美という女子学生だ。 俺と同じクラスメイトの女子生徒で、見た目は明るく染めた金髪ヘアにピアスと指輪、さらに丈の短いスカートが特徴的な可愛いタイプのギャルだった。 もちろんスクールカーストは上位に君臨している陽キャの一人だ。


 そしてどうやらそんな女子に俺は明日嘘告白をされるらしい。 でも付き合ったとしても最終的にはこっぴどく振られるらしい。 えぇ、何それ……


(何それ、めっちゃテンション上がるよな!!)


 いや噓告白な時点で普通の人ならブチギレ案件なんだろうけど、でも彼女いない歴16年の俺としては普通に嬉しかった。 だってどうせこのままだと俺は青春する事もなく卒業する事になっただろうしなぁ……


 いや俺だって彼女を作って一緒にご飯食べたりデートとかしてみたりとかの青春生活を送ってみたいと思ってたからさ……この噓告白に便乗するしかないよな! しかも水瀬さんってめっちゃ可愛いからね! そんな人と嘘だけど恋人になれるんだったら俺は別に騙されてもいいわ!


(あはは、それじゃあ明日が楽しみだな!)


 という事で俺は水瀬さんからの噓告白を楽しみにしながら、彼女達の盗み聞きをしていたのがバレないように俺はその場所から離れる事にした。

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