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12話

 授業終わりの放課後、俺は学校にある自習室で黙々とテスト勉強をしていた。 もうすぐ学校の中間テストが始まる時期なので、自習室は多くの学生で席は埋まっていた。


「……ふぅ」


 気が付けば自習室に訪れてから既に2時間以上が経過しており、時刻は18時を過ぎた所だった。 ちょうど解いてた問題もきりの良い所まで終わったので、今日はこれくらいにして俺は帰宅する準備を始めた。


(あ、そういえば一人で帰るのは久々だな)


 俺は筆記用具や教科書などを学生鞄に詰め込みながら、そんな事を思っていた。 最近は水瀬さんと一緒に下校する事が多かったので、一人で下校するのは久々かもしれない。


 という事でせっかくなので俺は水瀬さんとお付き合いしてからのこの数週間の出来事を思い浮かべてみた。 この数週間は水瀬さんと一緒に下校したり、お昼を二人きりで食べたり、あーんとかもさせて貰ったりと、本当に色々と貴重な体験をさせて貰った。 どれも俺にとっては初めての経験だったので、とても楽しい日々を過ごさせて貰っていた。


(でもこれって……ひょっとして子供っぽいか?)


 俺としてはこれが初めての彼女なので、何をしても初体験となる身としては一緒に帰ったり二人でご飯を食べたりとかするだけで凄く楽しい気持ちになるんだけど、でも経験豊富な水瀬さんからしたらこんなのは今更すぎて全然楽しくないかもしれないよな。


(うーん、でも、それじゃあ大人のお付き合いってどんな事をすれば良いんだ?)


 あ、いや、大人のお付き合いと言っても、それはえっちぃ展開の事を言ってる訳では無いからね。 そもそも水瀬さんとは本当にお付き合いをしている訳じゃないから、えっちぃお願い水瀬さんにする事つもりは一切無い。


 だからそういうえっちぃ事じゃなくて、例えば夜景を見に行くとか、高級なレストランに行くとか? いやそれが大人なお付き合いなのかはわからないけど、でもそういう所の方が水瀬さんには似合ってるような気はするなぁ。 まぁそんな所に連れて行ける程のお金を俺は持ってないから無理だけど。 うーん、お付き合いをするって色々と難しいんだなぁ……


◇◇◇◇


 帰宅後はいつも通り様々な参考文献(恋愛小説とか漫画とか)を読み漁っていた。 まぁ水瀬さんとのお付き合いに役立つかはわからないけど、でも普通に読んでいて面白いから俺は娯楽として普通に楽しんでいた。


「ふーん、文化祭かぁ……」


 今俺が読んでいたラブコメ漫画では好きな女の子と文化祭を巡るというシーンが始まっていた。 確かにそういうラブコメ作品では文化祭とか体育祭を一緒に巡るっていうのは王道な流れだよな。 まぁ水瀬さんとお付き合いをしてるというのは秘密にしているのだから、学校内のイベントを一緒に巡るなんて事は出来ないんだけどさ。


「そもそも今年度の学校行事ってほぼ何も残ってないしなぁ……」


 今は1月中旬の冬場だから、もう今年度の学校行事なんてほぼ全てが終了している。 それに二年生に進級する前には流石に振られる事になるだろうし、水瀬さんと文化祭とか体育祭を一緒に巡るというような王道のイベントが発生する事は一生ないだろう。


「うーん、今年度で残ってる学校行事なんてあとはもう期末テストと春休みくらいしか……あっ」


 ……あっ! いや学校行事ではないんだけどさ、でもそういえば2月ってカップル御用達のイベント行事が一つあるよね? 彼女がいない奴には一切関係の無いあのイベントがさ。


「あ、そうか、2月にはバレンタインがあるじゃん!」


 という事でちょうど一か月後に、今まで彼女が居なかった俺には一切関係の無かったあのイベントが開催される事に気が付いた。

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