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翌日。

登校すると、教室がなにやら騒がしかった。


「?」


疑問符を浮かべつつ、ウカノは教室に足を踏み入れた。

すると、黒板になにやら紙が張り付いている。

お知らせのようだ。


「授業、変更??」


なんと、午前の授業が全て実技授業に変更になってしまったらしい。


(こういうことかぁ)


近くにいたクラスメイトに訊ねる。


「こういうことって、よくあるの?」


「いやぁ、普通は同じ教科の別の先生が代打で来るよ。

こんなこと初めて」


「へぇ」


これがどういうことなのか、ウカノは考える。

普段、各教科いずれかの担当教師が何らかの理由で授業が出来なくなった場合、自習かクラスメイトが説明してくれたように、別の教師が授業をする。

では何故、今回に限って実技授業になったのか。


ウカノは考えながら、アールの席を見た。

なんだかんだ彼は真面目なタチらしく、必ず始業前に自分の席に座っている。

今日もそれは変わっていなかった。


「…………」


アールはムスッとした顔で、黒板を見ていた。

ウカノと目があう。


「ちっ」


アールは舌打ちをして、視線を逸らす。

少し気まずそうに見えた。

他の生徒たちのざわめきの方が大きいので、その舌打ちはかき消された。


(少しは考えるくらいはしたか)


本当に何もかもが、クロッサに似ている。

似てないのは、顔くらいだ。

あの反応からして、おそらく寮の自室に帰ってから悶々としたのだろう。


今までこういうことを指摘された事がなかったのか、それを無視してきたのか。

本当のところはわからない。

でも、少なくともアールは真正面から叱られたことがない、とウカノは確信していた。

そうでなければ、昨日ウカノが怒鳴りつけた時に、あんな怯えた顔をするはずが無いのだ。

ただ怒鳴りつけただけなら、きっと鼻で笑ってただろう。

叱られ慣れていたなら、やはり似たような反応だったと思う。

けれど、アールは自分がなにをやらかそうとしていたのかを聞かれ、答えられず怯えた。


怒鳴りつけたウカノの事を怖いと、感じていたはずだ。


当たり前だ、怖く感じるように怒鳴りつけたのだから。

あとは彼の問題だ。

ウカノがここにいる間に、また同じようなことが起これば、その時はまた叱るだけだ。


ウカノは席に向かう。

そして初日や、昨日と同じように、


「おはよ」


挨拶をする。


「…………」


変わらず、無視された。



それからすぐに、担任が教室にきた。

そして、授業変更について簡単な説明がされる。

なんでも、本当に急に決まったことらしい。

担任も詳しい事情は知らないようだった。


(仕掛けてきたのは、明白だ)


ウカノはチラリと隣の席を見た。

変わらずムスッとした顔をしている、アールを見た。


(守りぬく。絶対に)


そして、家族を救うのだ。

あの未来から、地獄から、家族を救うのだ。

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