表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/22

この人生は2度目なの?

 祐介と正式に婚約したから1カ月。

 その間に私は退職手続きを済ませ、引っ越しの準備をしていた。

 『俺、ずっと実家暮らしで家のこと何もできないし、全部菜月にやって欲しいんだ。その代わり、お金のことは何も心配しなくていいから。俺、結構もらってるし子供ができても養っていけるから』と、婚約してすぐに祐介に退職の打診をされた。

 仕事を辞めることにはかなり抵抗があったけれど、どうしても辞めて家に入って欲しいと頼み込まれたので辞めることにした。幸い中途入社で採用された人を教育している最中だったので、そのまま引き継ぎとなり、残り少ない有休を消化して退職となった。

 これを逃すと数カ月先になるとわかっていたので、早いかなと思ったけど、貯金もあるし、キリもいいので辞めた。そしてこれが間違いだった。


 退職してから数日経ったある日、私は祐介に駅前のカフェに呼び出された。

 結婚準備は退職してからと思っていたので、その話かな?と思い向かった。

 けれど、祐介から言われたことは、

 「菜月、ごめん。別れて欲しい」だった。

 「は?」

 「いや、母さんがやっぱりやめとけって言うから」

 「お母さん? …え?お義母さん?」

 「菜月には悪いと思ってるけど、でも母さんが反対するなら仕方ないだろ?」


 「え? ……え?」

 え?ちょっと待って…。知ってる。

 なぜかわからないけどこの展開、知ってる。


 私が「私、会社辞めたんだよ?」って言ったら、

 『それは菜月が勝手に辞めたんでしょ?』って。ほら、やっぱり。


 すごく、すごく、すごく!非科学的だけど、直感的にこの人生は2度目だ。と思った。

 「ごめん祐介、私帰る」

 「え?何、いきなり? 別れるってことでいいの?」

 「いいよ。じゃあ」

 今は祐介のことはどうでもいい。そんなのどうでもいい。

 でも覚えている。はっきりはしないけど。

 1度目の人生を、何があったのかを!

 

 私は祐介に別れ話をされて、仕事も辞めてるしどうしたらいいかわからなくてやけ酒したんだ。その後どうしたかはわかないけど、でも、気づいたら私は29歳に戻ってて婚活することになって、祐介と出会って…、また別れ話されてるの?

 

 何がなんだかわからないけど、絶対1回この展開やってる。

 でも、この後どうしたらいいかわからないし、とりあえずお酒買って飲もう。

 

 そして1度目の人生と同じく私は、浴びるように酒を飲んだ。

 けれど違うのは、衝動的に自殺をしたわけではなく、急性アルコール中毒になり死亡した。


 そして、人生は繰り返す。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ