表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

そして結婚へ

 今週末は、土曜日の夕方に祐介がうちにきてそのまま泊り、翌日の昼頃に帰る予定だ。祐介はいつもお酒を持ってきてくれるので、私はすぐに食事ができるように準備をする。

 思えば、外食かスーパーの弁当がいつもの私のご飯だったのに、祐介と付き合ってからはちゃんと料理をするようになった。慣れない部分はあるし失敗もするけど、でも美味しいと言ってもらえるのは嬉しくて、喜ばせたくて料理を頑張るようになった。

 祐介と付き合って、気になることもたくさんあった。

 けど、それ以上にいいこともあったのに。もしかしたら別れるだなんて。


 本当にいいの?


 気持ちが落ち着かないまま夕方を迎え、そして祐介がやってきた。

 「菜月、久しぶりだね!」

 いつものように出迎えると、抱きしめられキスをされた。

 「一週間ぶり。 …どうぞ、あがって」

 私はやっぱり祐介が好きだ。

 会うと嬉しくて、これ以上ない程の幸せを感じて、別れなど到底考えられない。

 けれど一人になると、いつもモヤモヤと色々なことを考えてしまって、それを解消しなければ先には進めない気がした。

 「今日、シチュー!?嬉しい、俺大好きなんだ」

 「この間、食べたいって言ってたから…」

 「菜月は本当に色々覚えてて気遣ってくれるね」

 「そうでもないよ」

 「そうだよ。 …まだ付き合って間もないけど、俺は菜月が大好きで、菜月以外の人は考えられなくて、結婚したいと思ってる」

 「えっ!」

 いつになく真剣な顔をして、とんでもないことを言われた。

 これは…、プロポーズなのか?

 「結婚……?」

 「うん。もうこの際だから言うけど、結婚しよう菜月!!」

 私は今日、別れも覚悟で祐介と話し合わなければいけないはずだった。

 だけど思いがけないプロポーズですべてが消し飛び、私は決めた。

 「祐介……。うん、結婚する」

 

 私、この人と結婚する。


 「というわけで、結婚することにした」

 「えー!!!」

 週末に話し合うから週明けに飲もうと、あらかじめ千佳ちゃんと約束をしていた。

 思いもよらない展開に、千佳ちゃんは上を向き両手を顔に覆う。

 「ちょっと待って。…ビール到着前からなんなの」

 「この際細かいことはどうでもいい。結婚する」

 「待って待って待って!!いやいやいや、ダメだよ!!」

 ちょうどビールが到着し、千佳ちゃんはそのまま半分以上飲み干す。

 「私付き合ってすぐの時に言ったよね?浮かれすぎてるって」

 「うん」

 「菜月ちゃん、今最高に浮かれてるよ!!」

 「そりゃ、結婚が決まりましたから」

 「そうじゃないよ。もっと現実を見て!フィルターかかってるよ」

 「なにが?」

 「なんで先週まであんなに悩んでたのに、全部どうでもよくなっちゃったの?全然良くないよ。一個もよくないよ!結婚って一生一緒ってことだよ!?」

 「そうだよ? …だから、私今幸せなの」

 「……そうじゃないよ」

 その日千佳ちゃんは、浴びるように酒を飲んでいた。

 

 『大変不甲斐ないのですが、今日は会社を休みます』

 そして二日酔いとショックで、千佳ちゃんは翌日会社を休んだ。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ