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2回目の人生

 私の名前は二宮菜月にのみやなつき。先月29歳になった。

 結婚したいしたいと思っていたが、結婚もできず彼氏もいない。

 会社は下着メーカーなので、どちらかというと女性の方が多い。

 職場恋愛は期待できない。


 「私、予定ではもう2人の子供のお母さんなんだけど!」

 「どうしたの!?突然」

 会社のお昼休みに、仲のいい千佳ちかちゃんに切り出す。

 「私、ここ5年程彼氏いないの」

 「知ってる」

 「結婚願望はあるの」

 「そうだったんだ」

 「それで来年30だし、今猛烈に結婚したいの!!」

 「ああ、そういうことね」

 千佳ちゃんは自作のお弁当を食べながら、大きな溜息をついてみせた。

 「そもそもさ、菜月ちゃん彼氏作る努力してなくない?」

 「え!!」

 「飲み歩いてばっかりじゃん。そりゃ彼氏できないよ」

 「でも千佳ちゃんは彼氏いるし、同棲してるじゃん」

 「私は大学時代からの彼氏だし結婚予定だし、事情が違うでしょ?」

 「そりゃ、そうですけど…」

 「結婚したいのなら、婚活でもしてみたら?」

 「こん……、かつ?」

 「そ、婚活!出会いがなければ自分で見つけに行かなきゃ!」

 

 千佳ちゃんに背中を押され、その勢いのまま婚活パーティの申し込みをした。


 私はしがないOL。友達も少ない。

 趣味と呼べる趣味もなく化粧も下手で、洋服だって安物ばかり。

 楽しいのは、千佳ちゃんと飲みに行っている時だけ。


 見た目だって、太っているわけじゃないけど、スタイルは悪い方。

 すごくブスなわけじゃないけど、顔立ちは良くない。

 どちらかというと良くないことの方が多くて、努力もできないダメな女。

 

 ダメなところはいっぱいあるけど、とりあえず洋服だけでも買おう。

 そう決めて街へ繰り出し、そしてパーティの日を迎えた。



 土曜、17時。賑わう街の片隅で、手汗を握る。

 ……こんなに緊張するのはいつぶりだろう。

 高鳴る鼓動は期待と不安に満ちていて、私は地図を見ながら会場に向かった。


 婚活といえば変な人。そんなイメージもあった。

 けれど男性も女性も身ぎれいで、カッコいい人キレイな人もたくさんいて。

 誰もが輝く笑顔を見せていた。


 この人たち、なんで彼氏彼女がいないんだろう。

 すごく素敵な人ばかりなのに。

 

 自分がなんだか惨めで、気に入った人を選ぶなんて恐れ多い真似はできなくて。

 最初の婚活は惨敗のまま、岐路についた。



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