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2回目の結婚

 橋本さんとはその後何度か会い、付き合うことになった。

 千佳ちゃんには祝福され、結婚式には呼んでね!とまで言われた。

 前回の橋本祐介の時には気を付けるよう忠告を受けたが、今回は手放しで祝福をされ、本当にあの時の恋は間違っていたんだなと痛感した。


 橋本さんは現在転勤中で、2カ月程したら戻ってくることになっている。

 けれどその後、起業するのでしばらくは忙しくて会えないかもしれないと言われた。付き合ったばかりでそういわれると不安になりそうだけど、近く結婚するから大丈夫という謎の自信があった。まだ、プロポーズもされていないのに…。


 そしてあっという間に半年が過ぎ、ある日彼は疲れた顔でこう切り出した。


 「会社が忙しいのに、実家から通うのが不便だから引っ越そうかと思ってる」

 「会社の近くに?」

 「二駅くらい離れたところ。もう終電で帰ってほぼ始発とか無理」

 「体壊しそうだね」

 ゆう君は会社を起こしたばかりで土日も働いているため、最近はデートらしいデートをしていない。休日の夜に、顔を見て話すためだけに私がゆう君の会社の近くまで行って、一緒に夕飯を取る。毎週40分くらいの時間で、愛を育んでいる状態だ。

 そして今日も、その時間がそろそろ終わってしまう。

 「じゃあ私もマンションの更新が近いから、ゆう君の家の近くに越そうかな」

 「え、なっちゃん引っ越しするの!?」

 あまりに大きな声を出すから店内に響き、何人かがこちらを見る。

 けれどそんなのは関係なしに、ゆう君は身を乗り出しながら言った。

 「え、じゃあさ。…あの、もし良かったら一緒に住まない?」

 「え?」

 「会社がちゃんと軌道に乗ったら俺、なっちゃんと結婚したいんだ。こんなところでプロポーズなんて変だけど、でも、だから、そのー…。結婚を前提に同棲したい!」

 祝福され、想いあってる恋は、こんなにあっさりと次に展開するのか。

 驚きすぎて声がでなくて、私は小さく頷いた。

 「本当に!?やった! じゃあ、どんな物件に住みたいか考えておいて。ごめん、今日は時間だからもう行くけど、俺本当に頑張るから。じゃあ、また連絡する」

 そう言うと、ゆう君は伝票を持って急ぎ足で店を出た。

 


 それから急ピッチで話が進み、同棲し正式にプロポーズされ、顔合わせも済ませた。

 向こうの両親からは歓迎され、良好な関係も築けた。

 付き合い始めてから約1年後に入籍。

 その後、実は密かにあこがれていたウエディングドレスも着た。


 順風満帆だった。幸せな結婚生活だった。

 けれど子供には恵まれなかった。

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