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第2話 真実

 あれから、一人で家に帰った私は魔法についてネット調べてみた。どれもが映画やアニメの話であったが、その中でも目を引くものがあった。

 

 ”銀行強盗犯、手足を凍らされたまま発見!”

 ”スカイツリーの頂上に括り付けられた不倫俳優”

 ”賄賂疑惑の政治家、警察署に瞬間移動!?

 

 どれも、ニュースやテレビでは公にはされていないものの、ネットの掲示板で似たような現象が日本全国で報告されていた。これらの共通点は、常識ではあり得ないような力によって犯罪者が捕まえられているということだ。

 これが、瑞樹くんが言った魔法と関係しているのかはわからないが、私の知らないところでこんな不可思議な現象が起こっているということがわかった。

 

 そのまま、不可思議現象について調べているとふとあることに気がついた。

 

「これって…瑞樹くん?」

 

 ”誘拐犯、裸で逆立ちしたまま出頭!”の記事を見ていたときだった。そこに貼られた一枚の写真。野次馬がたくさん写っていたのだがその中の一人に瑞樹くんがいた。

 

「偶然…?」

 

 明日、教室で瑞樹くんに問い詰めてみようと思い、その日はそこで調べるのをやめた。

 

 次の日。高校に登校した私は、先に登校していたらしい瑞樹くんのものに向かった。まだ、早い時間で人も少ないのでそんなに目立たないだろう。

 

「ね、瑞樹くん。話あるんだけど、三限のあと、屋上に来て」

「…わかった」


めんどくさそうな目で私を見つめていた瑞樹くんだったが、一応了承してくれた。


 さすがに、教室であのことを話すのは憚られたので、人が全然来ない屋上に呼び出すことにした。

 

 そして三限後。呼び出しておいて待たせるのも悪いと思い、先に屋上に行くことにした。

 そこで待つこと数分後。瑞樹くんが来た。

 

「話ってなんだ。水瀬さん。昨日のことならこれ以上言うことはない」

「昨日のことだよ」

「帰る」

「ちょっと、待ってよ。これを見て欲しいの」

 

 昨日のように、一瞬のうちに私の元から去ろうとする。だが、こっちには切り札がある。私は、携帯に昨日の掲示板の写真を表示して、それを瑞樹くんに見せた。

 

「ここに写っているのって、瑞樹くんだよね?」

「ぎくっ」

「やっぱり図星?これみたいな不可思議現象が日本各地で起きているんだけど、これって昨日瑞樹くんが言ってた魔法と何か関係があるの?」

 

 ここまで言った時には私はもうほとんど確信していた。瑞樹くんが魔法と呼ばれる不思議な力で犯罪者たちを捕まえているのではないかと言うことを。

 

「だれにも、言わないって約束できるか」

「できるよ」

「わかった。水瀬さんの想像どうり、その誘拐犯を捕まえたのは俺だ。魔法を使ってな」

 

 以外にもあっさり認めてくれたことに少し驚いた。それこそ、色仕掛けでもしない限り認めてくれないかもと思っていた。

 

「じゃあ、この掲示板にある現象は全部瑞樹くんがやったの?」

「全部ではない。日本には、俺以外にも魔法が使える奴が何人かいるからな」

「そもそも魔法ってなんなの?」

 

 一番気になっていた質問をぶつけてみることにした。

 

「はぁ…。ここまでバレてたら話しても話さなくても同じか。長くなるぞ」 

 

 そう前置きして、瑞樹くんは魔法について話してくれた。まとめると次のようになる。

  

 日本には魔法を使える人間が七人存在する。魔法を使える人間は、魔法を駆使し、小さな犯罪から大きな犯罪まで色々な事件の解決に尽力してきたという。この国の秩序を守るために。

 

 多少は驚きもした。魔法というものが実際に存在するということに。だが、実際に昨日私の傷を治す魔法をこの目で見ていたのでもう疑いようもないだろう。

 

「じゃあ、昨日もその仕事の一環で私を助けてくれたんだね」

「たまたま体育倉庫にいったら中から音が聞こえてな。さすがに見て見ぬふりはできなかっただけだ」


 思えばこの時から私は彼に惹かれていたのかもしれない。抗う力もないまま、ただ今の現状に流されるしかなかった私を救ってくれた彼にー。


「昨日はありがとう。助けてくれて」


 まだ言ってなかったその言葉に対して、瑞樹くんは照れることもなく、ただゆっくりと頷いただけだった。

 

 まだまだ話したいことはあったのだが、放課の終了を知らせるチャイムが校内中に響き渡った。それを合図に、特に示し合わせることもなく私たちは二人で教室に戻った。

 

 この彼との出会いが私の人生の大きな転換点になることをこの時の私はまだ知らないのだった。

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