4章
唯我独尊は変わらずただ変わったのは激悪騎士こと、ヤオラ殿下の最低付き人の俺だった。
今更性格が、変わるとははなから思ってなかったがヤオラ王子殿下は別だ。
体を鍛え、騎士としての力をそなえ。
時に参謀になる様学力知恵をそなえ。
何より殿下の、周りのピーチクパーチクうるさい女雀や権力のお裾分けを狙う躾のなってない男犬には。
慇懃無礼と罵詈雑言の嵐と多少の暴力で払っていった。
「カシア、そんなに周りにお前の悪評が拡まる行為はやめてくれ!」
いつも、ウザイ周りの人間に囃される俺の悪口や評価、評判がヤオラ殿下は気になるらしい。
「皆はカシアを誤解している‼︎」
いやいや、誤解ではない。元々性悪人間の俺を殿下だけに態度を変えたからと言って何も変わらなかった。
「殿下、前から言ってますが
どうぞ、気になさらずお願い致します。」
「しかし、皆がカシアを悪党呼ばわりするのが…………私には耐えれない。
本当のお前は誰より頼りになり真摯に他者を想える人間だ、まぁ、その。多少手段は選ばないが」
ウーン、その手段を選ばないって辺りで毎日毎日言ってる俺の悪党呼ばわりを認めて欲しい所なんだが。何故か殿下の中では俺は良い人間決定だ。
俺には殿下からの恩情も友情もいらない。
俺の中では、自分で誓った人生を殿下に捧げるのが運命は確かだが
何故俺様が、わざわざ他の人間にまで気を使わなければいけない。
正直昔殿下に注意されて以来女を平手で殴るのはやめたが、悪いとすら反省してない。それだけの事をした人間は因果応報だ。
妹も同じ様に
「カシアお兄様、代価の法則というのは。何かを貰った分その代価を支払わなければいけません。私はカシアお兄様みたいな素敵なお兄様がいる事が体の弱さもあまり目が見えないのも代価にしては少な過ぎません?」そういって聞く無垢な瞳に映る悪党な俺だが、本当は否定したいが無理だった。あの娘のなにもかもを受け入れた笑顔に俺は救われ、その妹を救ったヤオラ王子こと殿下に救われた。
悪意は俺が引き受けるから、どうかこの2人だけは真っ白で綺麗な世界にいて欲しいと、残りの何十年も悪党なりに生き甲斐をもって
憎まれっ子世にはばかるを地で、いって2人の死水を見守り受け止めるはずの俺だったが
まさかのまさかの。俺と殿下2人の若者に30人は余裕で越え、刃や弓矢先に毒までしこまれた悪漢達に囲まれたら。
流石の俺様だって無理の無理だ。せめてもの幸いは
殿下は無理矢理逃して無事の合図を最後に見れた。
あ、俺死ぬんだ。
いや、まあ、俺みたいな極悪、性悪人間にしてはまぁ、立派な最後だろ?
二階級特進はあの父親にやるにはもったいないがもう、意識はほとんどない。
あー、できれば。殿下にはこの事を気にせず生きて欲しいな。うっすらとそんな事を思いながら俺は生命のつきる音を聞いた。
だが、まさか次に目にした物がマリンブルーの髪の毛に真っ白な手の甲だとは思わなかった。
「え?俺どうなったんだ???」