3章
いくらなんでも、死人。いや生きていても簡単に妹の唇を奪う奴は王子と言えど許せず、やっと怒りで動いた足で妹達にかけよりヤオラを殴りつけた。
「いきなりとはいえ、俺は自分の民を救う為に只殴られるだけでは許せないぞ」
「ふざけるな!これ以上俺の妹の死を侮辱するなら王子なんて関係ねぇ。死ねよ屑王子‼︎」
そう言って蹴り上げようとした足は軽々と捌かれ俺は顎でヤオラ王子の肘をくらった
意外な反撃に俺は薄れゆく意識の中大きく咽せる音が聞こえた気がした。
気づいた時には俺の周囲には誰もいず。慌てて屋敷へと帰りヤオラ王子と妹の場所を探そうとしていたら。
なんと、妹は息をしながら横になっていた。
そう、ヤオラ王子は国宝の1つの心臓に効く秘薬を妹に飲ませ妹の命を助けてくれたのだ。
妹は代わりに弱視と言う目があまり見えない体になった。ひたすらソレを気にする俺に妹は
「お兄様?前に思った事があるんですが。
世界には綺麗なモノが沢山あるんです、けれど生まれつき目が全盲の方に見えないなら見えない素敵な世界があるのでは?と。
そして今まで見てきた世界とこれから違って見える世界を味わえるわたしは幸せです。
そして、何より私を救ってくれた王子様とお兄様がいる私は。ただただ幸せなんです」
最後にいつもと変わらない優しい笑顔を向けられた俺は。
ーーーー完敗だったーーーーーーーーーー
いくら妬んで捻くれて恨もうとも
この妹を助けてくれたヤオラ、いやヤオラ殿下には俺の忠誠という忠誠を馳せ。
必ず助けていく、と言う誓いを自分自身に誓った。
そして俺とヤオラ殿下は17歳へとなった。